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道(道徳)は自分次第である

—— 道が人を育てるのではなく、人が道を広める

孔子は、「道(=人としての正しいあり方、道徳)」の本質についてこう語った。

道とは、自然に広がっていくものではなく、
それを広め、高めるのは人の力である。
道が人を導いてくれるのではなく、人が道をどう扱うかが問われているのだ」と。

つまり、道徳や正しさというものは、
どこかに自動的に存在していて、それに沿えばいいという受動的なものではない。
それを学び、実践し、広めていく主体は、常に“人”である。

人が努力しなければ、道は廃れる。
人が志をもって実践すれば、道は広まり、世の中に力を与える。

**「道徳を育てるのは自分自身」**という自覚が、真の修養の出発点となる。


原文とふりがな

「子(し)曰(い)わく、人(ひと)、能(よ)く道(みち)を弘(ひろ)む。
道の人を弘むるには非(あら)ず」


注釈

  • 「道(みち)」:倫理・道徳・人として歩むべき正しい道。孔子の中心概念であり、「仁」と深く結びつく。
  • 「弘(ひろ)む」:大きく広げる、深める、世に伝えること。
  • 「人、能く道を弘む」:人間が道を実践し、発展させることができるという積極的な主体性の表現。
  • 「道の人を弘むるに非ず」:道そのものに、人を変える力があるわけではない。人の行いこそが決め手である、という厳格な視点。

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  • you-grow-the-way(道を育てるのはあなた)
  • virtue-needs-action(徳は行動あってこそ)
  • path-does-not-lead-you(道が人を導くのではない)

この章句は、教育・リーダーシップ・倫理的な判断に深く関わります。
受け身で「道に従う」のではなく、能動的に「道を築く者になる」――それが、孔子の説く君子の姿です。

1. 原文

子曰、人能弘道、非道弘人。


2. 書き下し文

子(し)曰(いわ)く、人(ひと)、能(よ)く道(みち)を弘(ひろ)む。
道の人を弘むるには非(あら)ず。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 「子曰く、人、能く道を弘む」
     → 孔子は言った:「人は道(道理・倫理・正義)を広め、高めることができる」。
  • 「道の人を弘むるには非ず」
     → 「道が人を高めるのではない(人が主体となって道を実現するのだ)」。

4. 用語解説

  • 道(どう):正しい道、道理、倫理、天の理。孔子が理想とした人生・社会のあり方。
  • 弘む(ひろむ):広める、深める、発展させる。
  • 非〜也:〜ではない、否定の表現。ここでは「道の方が人を広めるのではない」という意味。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子はこう言った:

「人間は、自らの実践によって“道(みち)”を広め、深めていくことができる。
“道”そのものが人を勝手に高めるのではない。主体はあくまで人間自身である」。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、「道徳や理念の価値は、人間の行動によってこそ意味を持つ」という孔子の実践哲学を表しています。

  • 「道」や「理念」はあくまで可能性や理想にすぎず、
    それを実際の行動・実践によって広めるのは、人間の責任と主体性である。
  • つまり、理念に依存するのではなく、自らが体現者・実現者になれというメッセージ。
  • これは「道徳主義の危うさ」への警鐘でもあり、形だけの理念ではなく行動の伴う実践こそが本質と説いています。

7. ビジネスにおける解釈と適用

◆ 「理念は掲げるものではなく、体現するもの」

ミッション・ビジョン・バリューは掲げるだけでは意味がない。
社員一人ひとりの行動によって、初めて組織の“道”が広がる

◆ 「組織文化は“制度”ではなく“人の姿勢”でつくられる」

どれだけ立派な倫理綱領があっても、実行する人がいなければ空文化する
理念の実現力こそが、リーダーの価値。

◆ 「“制度に育てられる”のではなく、“制度を育てる”人に」

個人が自発的に正しい道を体現し、周囲に影響を与えてこそ文化が醸成される
社員全員が“道を弘む人”になることが、持続可能な成長を生む。

◆ 「思想と実行力の両立」

“言ってることは立派だが、何もしない”では信用されない。
道を掲げるなら、それにふさわしい行動を。行動が伴ってこそ、道は活きる


8. ビジネス用心得タイトル

「理念を動かすのはあなた──“道”は人の実践によって輝く」


この章句は、現代の企業活動においても非常に示唆に富みます。
「企業理念をどう浸透させるか」「組織文化をどう築くか」「リーダーがどう模範を示すか」など、“実行と思想”の一致が問われる場面で特に力を発揮する指針です。

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