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心ここにあらずの働きは、魂を曇らせる


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■引用原文(日本語訳)

「専心せず、凡俗、頑固、狡猾、不実、怠惰、悲観的であり、仕事の遅い者は、暗質的な行為者と言われる。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第28節)


■逐語訳

以下のような特徴を持つ者は、暗質(タマス)に属する行為者であるとされる。

  • 専心しない(アユクタハ):集中力がない、注意が散漫。
  • 凡俗(プラクルタハ):物事の本質を考えず、表層的・惰性的に動く。
  • 頑固(ストゥバダハ):柔軟性がなく、他者の意見を聞かない。
  • 狡猾(シャタハ):不正直でずる賢い動機をもつ。
  • 不実(ナイシュクリカハ):誠実さや信頼性に欠ける。
  • 怠惰(アラサハ):面倒を避け、努力を惜しむ。
  • 悲観的(ヴィシャーダ):前向きに取り組めず、常に後ろ向きな態度をとる。
  • 仕事の遅い者(ディールガ・スートリー):処理が遅く、成果を出せない。

■用語解説

  • タマス(暗質):無知・怠惰・混沌・惰性の性質。行動や意識が曇り、進化を阻害する。
  • 専心しない:今この瞬間に心を向けず、意識が散漫になっている状態。
  • 狡猾さと不実さ:自己保身や責任逃れを目的に、正直さや誠実さを犠牲にする態度。
  • 悲観と怠惰:努力せずに諦め、やらない理由を探す姿勢。

■全体の現代語訳(まとめ)

注意散漫で、表面的なことしか考えず、
かたくなでずるく、不誠実で怠け者、
常にネガティブ思考で行動が遅い――
このような人は、タマス(暗質)に支配された行為者とされ、
魂の成長を妨げ、環境に悪影響を与える存在である。


■解釈と現代的意義

この節は、「やらない」「やれない」「やる気がない」人の姿勢がもたらす内的・外的損失を示しています。
能力の問題ではなく、心の在り方と姿勢の問題です。
暗質的な働き方は、自分自身の可能性を狭めるだけでなく、組織や社会全体に停滞をもたらす。
『ギーター』は、無意識的な怠惰や自己中心性を明確に否定しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点実務での例
姿勢・集中力会議中に上の空、報告書が雑、注意が散漫な姿勢は信頼を失う。
受け身の仕事観言われたことだけを惰性でやる、改善意識がない人は、組織の足かせとなる。
ネガティブな空気感「無理」「できない」と繰り返すだけの悲観的態度は、周囲のモチベーションを奪う。
変化への頑固さ自分のやり方を変えず、柔軟に対応できない人は、成長と信頼を阻む。
誠実さの欠如面倒を避けようとしたり、都合のいい言い訳をする行動は、責任放棄の象徴。

■心得まとめ

「心が眠ると、行為は濁る」
タマス的な行為者とは、魂が曇った働き方をする人。
『ギーター』は、どんな仕事でも「誠実さ」「集中」「前向きな気力」が大切だと説く。
真の行為とは、目の前の務めに心を込めて向き合うことから始まる。


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