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真実を語りつつ、誰も傷つけぬ言葉を選ぶ


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■引用原文(日本語訳)

粗野でなく、
はっきりと真実を伝えることばを語り、
その言葉によって誰の感情も害さない人――
その人を、私は〈バラモン〉と呼ぶ。

(『ダンマパダ』第408偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Yo ca gāthāya bhāsati:その人が語る言葉は
  • Anatthaṃ nāvikappati:無益なことを語らず
  • Saccaṃ ve mānusaṃ vākyaṃ:まことに真実なる人間の言葉であり
  • Anuddayāya bhāsati:思いやりを持って語る
  • Tam ahaṃ brūmi brāhmaṇaṃ:そのような人を、私は〈バラモン〉と呼ぶ

■用語解説

  • 粗野でない言葉:感情的・攻撃的・侮蔑的な言葉を避ける。
  • 真実を伝える(saccaṃ):事実や誠実な心に基づいた発言。
  • ことがらをはっきり伝える:曖昧さやごまかしなく、明快に真意を示す。
  • 他人の感情を害しない(anuddayāya):思いやりに満ちた配慮ある言葉づかい。
  • 〈バラモン〉:ここでは、言葉によって調和と清らかさをもたらす人格者を意味する。

■全体の現代語訳(まとめ)

粗野で乱暴な言葉を使わず、
真実を明確に語りながら、
誰の心も傷つけることがない――
そのような言葉を発することのできる人を、
仏陀は〈バラモン〉と呼ぶ。


■解釈と現代的意義

言葉は、時に刃物よりも鋭く人を傷つけることがあります。
逆に、言葉によって人を救い、癒やすこともできます。

この偈は、「正しさ」と「やさしさ」の両立を求めています。
真実を語ることは必要ですが、それが他人を傷つける鋭さではなく、
明快さと慈しみを伴うべきである――という姿勢が求められているのです。

これは、単なる「やさしい言葉」ではありません。
曖昧な優しさでもなく、冷たい正しさでもなく、
本質を突きつつも誰の心も損なわない、洗練された誠実さ
です。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
フィードバックの技術部下の失敗を率直に指摘しながらも、人格を否定せず、成長を促す言い方ができる人は、信頼を築ける。
交渉・提案時の配慮事実や課題を明確に示しつつも、相手の立場に敬意を払い、感情的な摩擦を避ける言葉が、成果につながる。
会話の信頼性と温度感本音で話すが冷たくない、丁寧だが忖度しすぎない、そんな言葉が組織文化を育てる。
リーダーの影響力言葉によって人の心を動かし、行動を変え、信念を伝えられるリーダーは、長期的に人を導く存在となる。

■心得まとめ

「正しさとやさしさを、同時に語れ」
真実を語るのは勇気、
やさしく語るのは成熟。
誰かを責めるでもなく、
偽るでもない、
澄んだ言葉を、まっすぐに。
それができる人こそ、
言葉で人を育て、つなげ、導く〈バラモン〉なのです。


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