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言葉と行いを一致させよ ―


■ 引用原文(『ダンマパダ』第八章「ことば」第一偈)

いつわりを語る人は地獄に堕ちる。
またこの世で自分が言ったのとは異なった行ないをなす人も地獄に堕ちる。
この両者は死後にひとしくなると説かれている。
来世ではともに下劣な業をもった人々なのであるから。


■ 逐語訳

  • いつわりを語る人:真実を語らず、虚偽を述べる者。
  • 地獄に堕ちる:死後、苦しみの多い悪しき境涯に生まれる。
  • 自分が言ったのとは異なった行ないをなす人:口では善を説きながら、実際には悪をなす者。
  • ひとしくなる:両者とも、死後に同様の報い(悪しき転生)を受ける。
  • 下劣な業をもった人々:誠実さに欠けた行為を重ねたため、来世でも不幸を招く者。

■ 用語解説

  • 虚言(いつわり):真実でないことを意図して語る行為。仏教では重大な不善業の一つ。
  • 言行不一致:言葉と行動が一致しないこと。偽善として重く咎められる。
  • 地獄(ナラカ):仏教における六道の一つ。最も苦しい輪廻の状態。
  • 業(カルマ):意図ある行為によって形成される因果の力。悪業は悪い結果を生む。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

真実を語らない者も、口先では立派なことを言いながら行動が伴わない者も、ともに地獄に堕ちると仏陀は説いている。これらの者は死後に同じような悪しき運命に至るのは、自らの言葉と行為の不一致という「下劣な業」を重ねた報いであるからだ。


■ 解釈と現代的意義

この偈(ことば)は、「誠実」と「一致」の大切さを強く示しています。言葉だけが美しくても、行動が伴わなければ、それは欺瞞に過ぎません。人間関係や信頼は、言葉の正しさ以上に、「言ったとおりに行うこと」によって築かれるという、普遍的な倫理を伝えています。

現代社会においては、SNSなどで発信する内容と、実際の行動との乖離が問題視されることも多く、この教えはそのまま現代の戒めとして通用します。


■ ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
信頼構築約束した納期・品質を守らないと、どんなに美辞麗句を並べても信頼は失われる。
リーダーシップ「部下を大切に」と言いながら実際には軽視していれば、言葉は虚しく、組織の尊敬を得られない。
セルフブランディング公の場で語る理想と、実際の行動が食い違えば、信頼もブランドも損なわれる。
営業・顧客対応商品説明で誠実さを装っても、対応や実際の商品が異なれば、評価は急落する。

■ 心得まとめ

「言葉は行動によって裏打ちされる。真の信用は一致から生まれる」

この偈は、言葉の力そのものではなく、「言葉と行為の一致」が徳の本質であることを教えています。
誠実な行動がない言葉は、たとえ雄弁でも人を導くことはできず、自らをも堕落させます。
ビジネスにおいても、発言したことは責任をもって実行する――その姿勢こそが、他者との信頼関係を築く基盤となるのです。

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