目次
■引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
「私に意を注ぎ、私に常に専心して念想する、最高の信仰を抱いた人々は、『最高に専心した者』であると、私は考える。」
(『バガヴァッド・ギーター』第12章 第2節)
■逐語訳
主クリシュナは語った:
「私に心を傾け、私を一心に思い続ける者――揺るぎない信仰をもって私を念想する者――こそ、私は最も優れたヨーガの実践者(最高に専心した者)と見なす。」
■用語解説
- 意を注ぐ(マイアーヴェーシャ):完全に心を神(対象)に集中させること。
- 常に専心(アナンヤ・チェータハ):他の一切を排して、対象にのみ精神を向ける状態。
- 念想(ディヤーナ):内なるイメージで対象を思い浮かべ、持続的に心を結びつけること。
- 最高の信仰(パラマー・シュラッダー):一切の疑いを超えた、深く強固な信仰。
- 最高に専心した者(ユクタタマハ):ヨーガを最も適切に実践している人物。心・知性・行動すべてを一つに統合している人。
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは、「神(自分)を一心に思い続け、深い信仰心をもってその存在に心を預ける人々」こそが、最も優れた精神統一の行者(ヨーギー)であると明言する。対象を外に求めず、心の中に完全に抱き続けるその姿勢が、真のヨーガであるとされる。
■解釈と現代的意義
この節は、「深い愛と一途な集中」が精神修養の最高の形であると説いています。
知識よりも、行動よりも、まず「心の向き」が問われているのです。神(または真理)に向けられた一途な心は、人生の迷いを解き、行為に確かな方向性をもたらします。
現代では「集中力」や「ビジョン」と言い換えられるかもしれません。自分が何に心を向けて生きるのか、その純度と持続力こそが、人としての深さを決める――それがこの教えの核心です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
ビジョンへの集中 | 会社や個人のビジョンに「意を注ぎ、ぶれずに専心する」ことで、周囲に強い信頼感と一貫性を与える。 |
リーダーシップ | 目の前の数字や困難に右往左往するのではなく、「一つの理想や価値」に深く根ざして行動することで、軸のある判断ができる。 |
チームづくり | 組織全体で「何のために働くか」という一点に集中することが、強いチームカルチャーを生む。 |
■心得まとめ
「心のすべてを注ぐ者に、道は拓かれる」
一途に、誠実に、心のすべてを対象(理想・使命・顧客)に注ぐ――その姿勢こそが、最も高い実践と評価される
『ギーター』が説く真のヨーガとは、知識や形式を超えた、魂の集中のあり方である。
ビジネスでも、信念と集中がなければ道を見失う。だが、一つの目的に心を尽くせば、結果は自然とついてくる。
コメント