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何を楽しむかで、その人の未来が決まる

楽しみには、人生を豊かにするものと、堕落させるものがある。
孔子は、人生を正しく導く「三つの楽しみ」と、自らを損なう「三つの楽しみ」を明確に示した。

礼や音楽の節度ある実践に喜びを見出すこと。
人の善を語り合い、賢い友を多く持つこと。
こうした楽しみは、人格を磨き、社会との良い関係を築くための糧になる。

しかし、贅沢や放蕩に耽り、怠けて遊び歩き、宴会にばかり興じるような楽しみは、自分の心と体と信用を少しずつ蝕んでいく。
「楽しみ」は一見、無害で自由なものに見える。だが、その選び方ひとつで人生は大きく左右される。
賢い者は、自分を育てる楽しみを選ぶ。

目次

原文

孔子曰、益者三樂、損者三樂。
樂節禮樂、樂道人之善、樂多賢友、益矣。
樂驕樂、樂佚遊、樂宴樂、損矣。

書き下し文

孔子(こうし)曰(いわ)く、益(えき)する者に三楽(さんがく)、損(そん)する者に三楽あり。
礼楽(れいがく)を節(せっ)するを楽しみ、人の善(ぜん)を道(い)うを楽しみ、賢友(けんゆう)多きを楽しむは益あり。
驕楽(きょうらく)を楽しみ、佚遊(いつゆう)を楽しみ、宴楽(えんがく)を楽しむは損なり。

現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  1. 孔子は言った。
  2. 「人として有益な“楽しみ”が三つあり、害をもたらす“楽しみ”にも三つある。」
  3. 「礼や音楽(社会秩序や文化)を節度をもって楽しむこと、人の善行を称賛して喜ぶこと、賢い友が多いことを喜ぶのは、有益な楽しみである。」
  4. 「傲慢になるような楽しみ、だらけた遊び、酒宴などの快楽を好むのは、有害である。」

用語解説

  • 節礼楽(せつれいがく):礼(儀礼・秩序)と楽(音楽・文化)を節度をもって楽しむこと。道徳的・文化的な喜び。
  • 道人之善(ひとのぜんをいう):他人の善行を称賛し、積極的に語ること。善意の共有。
  • 多賢友(けんゆうおおし):賢く徳のある友人が多いこと。良き仲間との関係を喜ぶ心。
  • 驕楽(きょうらく):自慢や傲慢を伴う快楽。虚栄心に基づいた楽しみ。
  • 佚遊(いつゆう):節度のない遊び。怠惰に溺れる娯楽。
  • 宴楽(えんがく):過度な酒宴や快楽的な集まり。放縦な享楽。

全体の現代語訳(まとめ):

孔子はこう語った:
「人として身に付けるべき有益な楽しみには三つある。
礼儀や音楽といった文化を節度をもって楽しむこと。
他人の善行を称賛して共に喜ぶこと。
そして、賢く信頼できる友が多いことを楽しむこと。
逆に、傲慢な気分にさせるような快楽、節度のない怠惰な遊び、過度な飲食の宴会などは、人にとって害をもたらすものである。」

有益な楽しみには三つある:
(1)礼儀と音楽を節度あるかたちで行うことを楽しむ。
(2)他人の善行や善き言葉について語るのを楽しむ。
(3)賢明な友人が多いことを楽しむ。

一方、有害な楽しみも三つある:
(1)贅沢で乱れた遊びにふけること。
(2)怠けてだらだらと遊び暮らすこと。
(3)宴会や酒盛りなどに溺れること。

解釈と現代的意義:

この章句は、「何を楽しむか」が人格や人生を形成すると説いています。

  • 楽しみ=価値観の表れであり、その内容次第で人は高めもされ、堕落もする。
  • 本質的な喜び(文化・徳・人間関係)を大切にすれば、人間性が豊かになり、人生も充実する。
  • 一方で、傲慢・怠惰・快楽といった“表面的で一時的な楽しみ”に偏ると、人は崩れていく。

ビジネスにおける解釈と適用

1. 「仕事の中に“節度ある楽しさ”を見出せ」

真剣な儀式(会議・報告)や文化活動(表彰・共有)に節度を持って取り組むことが、組織の健全な喜びになる。

2. 「“人の善を喜ぶ文化”が、組織の強さ」

他者の貢献や努力を讃える風土は、信頼と尊敬を生み、チームを強くする。称賛を惜しまないことが重要。

3. 「安易な“慰労”が、職場の劣化を招く」

形だけの飲み会、内容のないレクリエーション、上司の自己満足の宴会──こうした快楽は士気を損なう危険がある。
真に有益な楽しみとは、成長・学び・信頼関係の中にある。

まとめ

「喜びを選べ──“誠と成長”の楽しみが人と組織を育てる」

この章句は、「何に喜びを見出すか」が人間形成の核心であることを語っています。
人材教育・企業文化・報酬制度の設計にも応用できる珠玉の教えです。

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