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智慧は徳の中に宿る――行いを整え、心を整える


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「慢心や偽善のないこと。不殺生、忍耐、廉直。
師匠に対する奉仕、清浄、堅い決意、自己抑制。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第7節)


■逐語訳

自惚れ(アハンカーラ)や偽善(ダンバ)を捨てること、
生き物を害さず(アヒンサー)、困難に耐え(ティティクシャー)、
誠実で正直であること(アールジャヴァ)、
師に対する敬意を持った奉仕(アーチャーリヤ・ウパーサナ)、
身体と心の清らかさ(シャウチャ)、
確固たる決意(スティリヤ)、
感覚の制御(アートマ・ヴィニグラハ)――これらが智慧の土台である。


■用語解説

用語意味
慢心(アハンカーラ)「自分がすごい」「自分は正しい」という思い上がり。
偽善(ダンバ)本心を隠して善人を装うこと。見せかけの道徳。
不殺生(アヒンサー)他者を物理的・精神的に傷つけない姿勢。
忍耐(ティティクシャー)苦しみや誹謗中傷を耐え忍ぶ内的強さ。
廉直(アールジャヴァ)正直・誠実。自分に嘘をつかないこと。
師匠への奉仕(アーチャーリヤ・ウパーサナ)教えを授けてくれる存在への尊敬と謙虚な姿勢。
清浄(シャウチャ)身体と心の清らかさ、外面と内面の清潔さ。
決意(スティリヤ)目標を定め、迷わず進み続ける意思の強さ。
自己抑制(アートマ・ヴィニグラハ)感覚や欲望に支配されずにコントロールする力。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、真の「知識(ジュニャーナ)」とは、知識の量ではなく人間としての在り方に宿るものだと説いている。
謙虚さ、誠実さ、忍耐、自己管理――これらの徳こそが、魂の目覚めと智慧の前提条件である。


■解釈と現代的意義

この節は「知識=知性・情報量」ではなく、「人格・徳」こそが本当の智慧の表れであるという価値観を示しています。
学歴や知識よりも、謙虚さや他者への配慮、自己制御こそが真理への道を開くという、古代インドにおける深い人間理解が語られています。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
リーダーシップ「肩書き」に依存せず、謙虚に人を導く人こそが本当のリーダー。
誠実さごまかしや偽りではなく、真摯な態度が周囲の信頼を築く。
感情マネジメント忍耐と自己制御によって、衝動的な発言や行動を避けられる。
学びの姿勢師や先輩に敬意を払い、素直に学び続ける者ほど成長が速い。
持続力と信念困難にぶつかっても、ブレずにやり抜く決意が成果を生む。

■心得まとめ

「知識は、人格の上に築かれる」

『バガヴァッド・ギーター』は、「知識は徳と共にあって初めて真理に至る」と説きます。
現代においても、専門性や成果だけではなく、誠実さ・忍耐・謙虚さを備えた人物が真に信頼され、長期的に成功するのです。
知識を追い求めるなら、まず自分の在り方を整えること。それが智慧への第一歩です。

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