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📖 原文引用(日本語訳)
明らかな知慧があり、戒しめをたもつ人は福徳をつくり、ものをわかちあって、この世でもかの世でも、安楽を達成する。
――『ダンマパダ』第六章「戒しめ」第五節
📝 逐語訳
- 明晰な智慧を持ち、戒律を守って生きる人は、
- 善い行いによって福徳を積み、
- 財や成果を他者と分かち合うことによって、
- この世(現世)においても、あの世(死後)においても、安らぎと幸福を得ることができる。
🧩 用語解説
- 明らかな知慧(パンニャー):真理を見抜く力。経験や理屈を超えた、行動に結びついた洞察。
- 戒しめ(シーラ):道徳的・倫理的行動規範。内面的な統制力を育てる基盤。
- 福徳(プンニャ):善行や正しい行為によって積み上げられる精神的な徳分。
- わかちあう(布施・ダーナ):利己を超えた利他の実践。他人と分け合うことによって自己の功徳が深まる。
- この世・かの世:仏教における「此岸(現世)」と「彼岸(来世)」。一生だけにとどまらない視座。
🪞 全体現代語訳(まとめ)
智慧を持ち、規律ある生き方を貫く人は、善き行いを積み、人々と喜びや富を分かち合う。**そのような生き方は、現世においても幸福と平安をもたらし、死後にも善き報いをもたらす。**仏教の三要素「戒・智・施」がここに集約されている。
🌏 解釈と現代的意義
この句は、人格的完成の三本柱――「知慧」「戒律」「分かち合い」――を説いています。
単に知識があるだけでも、道徳があるだけでも十分ではなく、他者と共に生きる姿勢(共有・奉仕)こそが本当の安楽をもたらすとしています。
現代では「知識偏重」や「成果至上主義」が強調されがちですが、それを超えて人間関係と心の豊かさに根ざした成功を目指す教えです。
💼 ビジネスにおける解釈と応用
観点 | 実践例 |
---|---|
知と徳の両立 | 専門的知識に加え、倫理観・誠実な態度が信頼を生む。 |
成果の分配 | 個人やチームの成果を独占せず、関係者に公正に還元する姿勢が信頼と継続的協力を築く。 |
CSR・社会貢献 | 自社の利益だけでなく、社会や顧客と利益を共有することが長期的なブランド価値を高める。 |
両面価値の追求 | 目先の利益(この世)と、信頼・理念・社会貢献(かの世)を両立する持続可能な経営モデルの実践。 |
🧠 心得まとめ
「智により見極め、戒により貫き、施により共に喜ぶ」
――そのとき人生は、今も後も、安らかに輝く
成果だけを求める人ではなく、知恵をもって道を見極め、戒律をもってブレずに歩み、分かち合いをもって人と共に生きる者こそが、真の「成功者」である。この世においても、かの世においても、心豊かな人生を手にする秘訣がここにあります。
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