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本質を問い、聴き、知る――そこから始まる叡智


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「その『土地』とは何か。どのようなものか。どのように変異するか。何から何が出るか。その『土地を知る者』とは誰か。彼の力はいかなるものか。私はそれを簡潔に説くから聞け。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第3節)


■逐語訳

「その『土地(身体)』とは何であり、どのような性質を持ち、どのように変化していくのか?
また、そこから何が生じ、何が結果として現れるのか?
『土地を知る者(真我)』とは誰であり、その力(シャクティ)はいかなるものであるのか?
私は今、それらを簡潔に説明しよう。よく聴きなさい。」


■用語解説

用語意味
土地(クシェートラ)身体・心・五感・知性など、物質的・心理的なすべての活動領域。
土地を知る者(クシェートラジュニャ)魂(アートマン)、または神(パラマートマン)。変化しない認識の主体。
変異(ヴィカーラ)生・老・病・死など、身体や心の変化。
力(シャクティ)「土地を知る者」が持つ認識力・支配力・内的なエネルギー。
聞け(シュルヌ)単なる聴取でなく、精神を集中させ、真理を受け取るという意味を含む呼びかけ。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、アルジュナに対し、「身体とは何か」「それがどのように変化するか」「その中に宿る認識主体(魂)とは何か」、そして「魂の力とは何か」という根源的な問いを投げかけ、それに対する解説を今から始めると宣言している。


■解釈と現代的意義

この節は、霊的探求の出発点として「問いを持つこと」「耳を傾けること」の大切さを説いています。
外側の変化(体や環境)だけでなく、内側にある「変わらないもの」を見極めようとする意志が、真の知識への入口となります。
そして、神(クリシュナ)はそれを「簡潔に説く」と約束しており、真理は複雑で難解なものではなく、意識を集中して聞く者には明らかにされるものだと示唆しています。


■ビジネスにおける解釈と適用

視点解釈と応用例
問題解決力表面的な現象(売上低下、人間関係の摩擦)だけでなく、その「本質」を問い直すことで、根本的な解決策が見えてくる。
学びの姿勢成長する人は「何が問題か」「どこに原因があるか」「私は誰か」と問いを持ち、素直に学び続ける。
リーダーシップ部下に答えを押しつけるのではなく、「問いかけ」と「気づき」を促すことで、自律的な思考を育てる。
価値観の整理忙しさの中で、自分が何に振り回されているのか、何が変わり、何が変わらないのかを整理する習慣が、ぶれない判断力を生む。

■心得まとめ

「問うことから智慧は始まる。聴く姿勢にこそ、変化が宿る」

『バガヴァッド・ギーター』第13章は、存在の核心――「自分とは何か」を探る深い問いから始まります。
現代においても、表面的な情報にとどまらず、物事の構造や本質を問い、学び、聴く姿勢こそが、変化を超えて生き抜く智慧となります。
「変わるもの」と「変わらないもの」を見分ける目を養いましょう。それがリーダーの資質であり、人としての根を太くする道でもあります。

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