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行動の中にこそ、智慧と解放が宿る


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■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「行為の放擲と行為のヨーガとは、共に至福をもたらす。しかし、その両者のうちで、行為のヨーガは行為の放擲より優れている。」
(第5章 第2節)
*「放擲(ほうてき)」=行為(カルマ)を完全に捨て去る道。


■逐語訳

神(バガヴァーン=クリシュナ)は言った。
「行為の放棄も、行為のヨーガも、どちらも至高の境地(至福)へと導く。しかし、その二つのうちでは、行為のヨーガの方がより優れている。」


■用語解説

  • 行為の放擲(サンニャーサ):世俗の務めをすべて手放し、静的な瞑想や離脱を通して解脱を目指す修行的生き方。
  • 行為のヨーガ(カルマ・ヨーガ):行為を行いつつも、その結果に執着せず、義務としてなすべきことを行い続ける態度。
  • 至福(アーナンダ):精神的な解放と喜び。悟りに達した者が得る心の平安と幸福。
  • 優れている(シュレーヤス):精神的な成長・実践・結果において、より完成された手段であること。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは「行為の放棄」と「行為の実践(ヨーガ)」の両者が、ともに精神的解放に至る道であると認めつつも、「現実に行為をしながらその執着を断つ生き方(カルマ・ヨーガ)」の方が、より優れた道であると明言する。真理は逃避の中ではなく、行動の中でこそ体得される、という指針が示されている。


■解釈と現代的意義

この節は、単に世を離れて瞑想するよりも、現実社会の中で「執着を離れて行為を果たす」ほうが、より高次の実践であることを説いています。現代の私たちにとっても、問題を避けることなく向き合いながら、そこにとらわれずに動く姿勢が、成熟と幸福への道であると教えてくれます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
働き方の精神態度「辞めてしまいたい」「逃げたい」と思う場面でも、逃避ではなく、責任を持ちつつ執着を手放す姿勢が成熟をもたらす。
自己成長瞑想や研修に籠るよりも、日々の業務の中でこそ人間性は鍛えられる。実践の中で心を鍛える。
使命感と実行力成果にとらわれず「やるべきこと」を誠実に行い続ける人は、周囲からの信頼も厚く、長期的に高い影響力を持つようになる。

■心得まとめ

「逃げることで悟りは得られない。動きながらこそ心は磨かれる」
行為を捨てるよりも、執着を捨てて行為することの方が難しく、また高貴な道である――それがギーターの教えです。現代のビジネスにおいても、責任や行動から逃げるのではなく、それに向き合いながら心の自由を保つことこそが、本当のプロフェッショナリズムなのです。

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