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静かにして揺るがず、悪を吹き払う風となれ


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■引用原文(日本語訳)

八*
かれは、心が静まり、(欲望が)止み、
ゆっくりと語り、ざわざわすることなく、
悪いことがらを吹き払う。
風が木の葉を吹き払うように。
―『ダンマパダ』より


■逐語訳

  • 心が静まり:内面のざわつきや動揺が鎮まり、平静を保っている。
  • (欲望が)止み:貪欲や執着などの煩悩が収まり、無欲の境地にある。
  • ゆっくりと語り:落ち着きと意識ある言葉遣い。急き立てられず、配慮に満ちた表現。
  • ざわざわすることなく:態度や行動にも騒がしさ・不安定さがなく、静かな気品を持っている。
  • 悪いことがらを吹き払う:自他の悪や迷いを、清らかな力で自然に取り除く。
  • 風が木の葉を吹き払うように:強引さではなく、自然な働きによって悪が去っていく様。

■用語解説

  • 静まり:サマーディ(定)に通じる心の集中と静寂。外界に動じない心の姿。
  • 欲望が止む:三毒(貪・瞋・癡)の一つを克服し、平穏な心を取り戻した状態。
  • ゆっくりと語る:自他を傷つけない発言、思慮深い言葉選び。
  • 吹き払う:悪や混乱を排除するのではなく、軽やかに離れていくように導くこと。

■全体の現代語訳(まとめ)

欲望を静め、心を穏やかに保ち、丁寧に語る人は、騒がず、押しつけず、それでも確かに、悪しきものを取り除く力を持っている。
それはまるで、風が木の葉をそっと吹き払うように、自然で優しく、しかも確かな浄化力である。


■解釈と現代的意義

この偈は「静けさと力強さの共存」を説いています。
現代社会では「声が大きい者が強い」とされがちですが、仏教が示す理想像はまったく逆です。
静かな語り、落ち着いた所作、騒がない姿勢――それらの中にこそ、本物の威厳と他者を清める力が宿るのです。
それは「静かにして動かず、それでも確かに影響を与える在り方」とも言えるでしょう。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
対話と影響力大声や断定ではなく、落ち着いた言葉と態度で部下・顧客に安心感を与えるマネジメントが、長期的に信頼される。
感情コントロール会議や交渉の場で心が動揺しても、それを表に出さず、静かに対応できる人が場を整える。
チーム内の空気清浄機騒ぎ立てずに問題に対応する「風のような存在」が、職場全体の健やかさを支える。
内面の鍛錬静かに語り、確かな実行で信頼を積む人は、ノイズの多い時代において「静かなリーダーシップ」として際立つ。

■心得まとめ

「騒がず語り、吹く風のごとく悪を祓え」
強くあろうとするならば、まず静かであれ。
その静けさの中に、最も深い力が宿る。
――真に人を導く者とは、怒声や命令ではなく、風のように、自然に、悪を吹き払う者なのです。


この偈は、「非攻の強さ」や「無為にして為す」道(老子の思想とも親和)ともつながります。

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