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誰と歩むかが、己の行き先を決める


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■引用原文(日本語訳)

五*
劣った卑しい者になじむ人は堕落してしまう*。しかし等しい者につき合う人は実に堕落することはないであろう。すぐれた者に近づく人はすぐれた状態に達する。それ故にこの世では自分よりもすぐれた人とつき合え。
――『ダンマパダ』


■逐語訳(意訳を含む)

  • 劣って品性の卑しい者と親しくなる者は、自らも堕落していく。
  • 自分と同程度の人と関わる者は、おおむね現状を維持するだろう。
  • すぐれた人格者に近づく者は、自らも向上していく。
  • したがってこの世では、自分よりも高徳な人との交わりを選ぶべきである。

■用語解説

  • 劣った卑しい者(ヒーナ・ニーチャ):道徳心や知性に欠け、利己的・暴力的・品性のない人物。
  • 堕落(アパヤ):精神的退化、善からの遠ざかり。悪しき習慣や思考に染まり、道を誤ること。
  • 等しい者(サマーナ):性格・価値観・境遇が自分と同じ程度の人。
  • すぐれた者(パンダ・ウッタマ):人格・智慧・徳行において明らかに優れた人。
  • 近づく(ウパサンカミ):物理的な距離だけでなく、精神的・知的な交わり、傾倒をも意味する。

■全体の現代語訳(まとめ)

人は交わる相手によって、善にも悪にも変わっていく。品性の低い者と親しくすれば、自らも堕落の道を辿る。自分と似た者と交われば、そのままの状態にとどまる。しかし、尊敬すべき人物と交われば、自分自身も自然とその高みに導かれていく。だからこそ常に、自分より優れた人物と交わる努力をするべきなのだ。


■解釈と現代的意義

この章句は、「自己変容の鍵は人間関係にある」という普遍的な法則を語っています。
人は自分の環境、特に人間関係の影響を無意識に受けながら生きています。悪友や品性の低い人と交われば、自らの価値観や行動も曇りやすくなります。しかし、自分よりも高い境地にある人と交わることで、自分の水準も自然と引き上げられていきます。
つまり、「人は人によって磨かれる」――その真理がここにあります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
人材育成成長したければ、優秀で人格的にも尊敬できる上司や先輩から学ぶ環境を求めるべき。
組織の風土品性に欠ける人物が組織に影響力を持つと、組織全体が緩み、堕落へと向かいやすい。
自己投資自分より優れた人物と接することを恐れず、謙虚に学ぶ姿勢が、次のステージへの鍵となる。
人脈形成現在の居心地の良さにとどまらず、常に自分を高めてくれる関係性を選ぶことが成長の道。

■心得まとめ(感興のことば)

「志高き者に学ぶとき、己の志もまた高くなる」
人は関わる相手によって育つ。堕落も、平凡も、向上も、交わる人で決まる。
だからこそ、自分よりも優れた人とつき合うことを恐れず、敬意を持って近づこう。
その道こそが、魂を磨く最良の道である。

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