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執着なき者に、誰が道を示せるか


目次

📜 原文(第53節)

世の人々を誘うために
網のようにからみつき執著をなす妄執は、
かれには存在しない。
ブッダの境地はひろくて涯しがない。
足跡をもたないかれを、
いかなる道によって誘い得るであろうか?


🔍 用語解説

用語・表現解釈
網のようにからみつく妄執感官欲・所有欲・名誉欲などの煩悩や錯覚が心に絡みついて離れない様子。
妄執間違った思い込み・執着の総称。仏教では解脱の妨げとされる。
ブッダの境地解脱・涅槃・真理に到達した心の状態。全くの自由と平安。
足跡をもたない具体的な痕跡や型を残さず、生き方や思想が「捉えどころのない」存在であること。
誘い得る道導く手立て・理解する手段。悟りの世界は通常の道理では到達不可能という含意。

🧠 解釈と現代的意義

この節は、ブッダが「妄執」という網から完全に解き放たれた存在であることを示し、
さらに、その自由さゆえに他者には捉えることも導くこともできないという逆説的な構造を持っています。

世の人々は、

  • 愛、金銭、名声、関係、思想などの網に絡め取られ、
  • 自らを縛ってしまっている。

しかし、ブッダはその網そのものからも超越したため、
**「誘う必要も、誘われる道もない」**のです。

これは一つの境地であり、
「無為にして最も力強い影響力」を表現している句です。


💼 ビジネスへの応用と視点

観点応用・実践方法
リーダーの心構え部下を「絡め取る」マネジメントではなく、「解き放つ」関わり方が信頼を築く。
ビジョンと執着ビジョンは必要だが、執着になった瞬間に判断が狂う。妄執なきビジョンが真の導き。
影響力の新しい定義「コントロールしようとしないこと」こそが、最も深い影響力を持つ。
自己解放の実践自身の中にある「網」(肩書・成果・承認欲)に気づき、段階的に離れる訓練が重要。

✅ 心得まとめ

「網にからまぬ者に、道はいらない」

世の多くは「しがらみ」で人を動かすが、
ブッダは執着の網を捨てた。

網なき人には、
鎖も届かず、誘いも及ばず、
ただ自由だけが残る。

真の自由とは、
他者に理解されずとも迷わぬ心。

自由は、孤高の境地ではない。
自由は、妄執を見抜いた末の、
深い慈しみの静けさなのである。

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