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誰と共にあるかが、誰になるかを決める


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■引用原文(日本語訳)

二四*
愚かな者を見るな。そのことばを聞くな。またかれとともに住むな。
愚人らとともに住むのは、全くつらいことである。仇敵とともに住むようなものだからである。
思慮ある人々と共に住むのは楽しい。親族と出会うようなものである。
――『ダンマパダ』


■逐語訳(意訳を含む)

  • 愚か者の言動に関わるな。
  • その言葉に耳を貸すな。行動を共にするな。
  • 愚者と共に生活することは、心の平安を損ない、苦しみをもたらす。
  • それは、まるで常に敵とともに暮らしているようなものだ。
  • 一方、思慮深く智慧ある者との共生は喜びに満ちており、
  • まるで親しい親族と出会っているような安らぎがある。

■用語解説

  • 愚者(バール):善悪の判断がつかず、自己中心的で反省を知らない者。
  • 仇敵(サトゥル):害をなす存在。ここでは精神的な破壊をもたらす相手を指す。
  • 思慮ある人々(パンディタ):深い理解・配慮をもって生きる智慧者たち。
  • 親族(ニヤティ):安心感と信頼感を象徴する近親者。精神的な結びつきを表す。

■全体の現代語訳(まとめ)

愚かな人間と関わり、言葉を聞き、共に過ごすことは、心と行動を乱し、自分の精神を傷つけてしまう。
それは、まるで敵と暮らしているような苦しみである。
逆に、思慮深い人と共にあることは、安らぎと喜びをもたらし、まるで信頼できる家族と共にいるような心地よさがある。
だからこそ、誰と共に過ごすかを慎重に選ばねばならない


■解釈と現代的意義

この教えは、「人間関係が人生をつくる」という普遍の真理を示しています。
環境が人をつくる。特に日々接する人の影響は、自分が思う以上に深く、思考や価値観、言動にまで及びます。
愚者と関わることは精神の消耗と堕落をもたらし、賢者と過ごすことは心の栄養となる。
現代においては、物理的な「同居」だけでなく、SNS・職場・オンライン空間を含めた「心の隣人」もまた慎重に選ぶべきなのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
チーム構成能力よりも、価値観や姿勢を共有できる人と組むことが成果を生む。愚かな者はチームの足を引っ張る。
上司・部下の選び方共に働く人の人間性・思慮深さを重視することで、長期的な精神的健全さが守られる。
メンター選び学びの質は「誰と共にいるか」によって決まる。思慮ある人のそばに身を置け。
SNSや情報環境愚かな発言や誤った情報に常時触れる環境は、心の毒となる。自ら選択し、距離を取る勇気を持つ。

■心得まとめ(感興のことば)

「付き合う人こそ、人生を形づくる道しるべ」
敵のような愚者と過ごせば、心は疲弊し魂が沈む。
家族のような賢者と過ごせば、心は満たされ魂が輝く。
住む場所より、誰と住むか。学ぶより、誰と学ぶか。
人生の質は、“誰といるか”で決まる。


この章句は、人間関係・環境・選択の重要性を一貫して説いてきたダンマパダの教えの中でも、特に“日常の選択が人格をつくる”という実践的な観点に立っています。

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