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静けさをまとう者も、声を上げる時がある

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■心得タイトル

「」


■引用原文(日本語訳)

「クンティーの息子ユディシティラ王はアナンタヴィジャヤを、
ナクラとサハデーヴァがスゴーシャとマニプシュパカを吹き鳴らした。」
―『バガヴァッド・ギーター』第1章 第16節


■逐語訳(一文ずつ)

  • 「クンティーの息子、王ユディシティラは『アナンタヴィジャヤ(永遠の勝利)』という名の法螺を鳴らした。
  • そして、ナクラは『スゴーシャ(美しき響き)』を、
  • サハデーヴァは『マニプシュパカ(宝玉の花)』を吹き鳴らした。」

■用語解説

  • ユディシティラ:パーンダヴァ五兄弟の長兄で、正義・誠実・冷静を象徴する王。戦士であると同時に賢王。
  • アナンタヴィジャヤ:「アナンタ(無限)」「ヴィジャヤ(勝利)」を意味し、「永遠の勝利」を象徴する法螺。
  • ナクラとサハデーヴァ:双子の兄弟で、ナクラは武芸と美貌、サハデーヴァは知性と戦術に優れる。
  • スゴーシャ・マニプシュパカ:それぞれの個性や美徳に応じた象徴的な法螺の名前で、音の響きも戦場における意志表明。

■全体の現代語訳(まとめ)

誠実と真理を重んじる王ユディシティラは、「永遠の勝利」の名を冠する法螺を吹き鳴らし、静かな覚悟を示す。続いて、彼の弟である双子のナクラとサハデーヴァも、それぞれの個性を表す法螺を吹き、軍全体の気運がより一層高まる。ここには、派手な武勇だけでなく、「理性」「知性」「優雅さ」といった力もまた、戦いにおける重要な要素であるという価値観が表れている。


■解釈と現代的意義

この節は、「静かで内省的な者」「理性的な者」もまた、必要なときには明確に意思表示し、戦う覚悟を示すべきであることを教えています。リーダー(ユディシティラ)が法螺を吹くという行為は、戦いにおいて「道徳と誠実」が武器であるという宣言です。

現代社会でも、普段は控えめな人物や、戦略家・調停役といった人々が、決断の場で「声を上げること」が組織を大きく動かす瞬間になります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
誠実なリーダーの発信ふだん寡黙なリーダーが発する一声は、大きな信頼と重みを持ち、組織の士気を高める。
多様な才能の協調ナクラ(美と芸)やサハデーヴァ(知性)のように、異なる能力が共に声を上げることで、組織が総合力を発揮する。
タイミングを見た自己表現普段は目立たない人でも、「ここぞ」という時に自分の立場を明確にすることが、周囲に安心と方向性を与える。
象徴的な行動法螺は言葉でなく行動で意思を示す象徴。ビジネスでもプレゼン・提案・判断など「音を鳴らす」場面が必要。

■心得まとめ

「静けさの中の覚悟が、真の信頼を呼び起こす」
ユディシティラの法螺は、大声ではないが、全軍に響く真の王の声。理知や誠実もまた、戦いの武器となる。普段は言葉少なでも、信念を持って立ち上がるとき、その音は誰よりも深く仲間の心に響く。

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