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📜 引用原文(日本語訳)
第二二章 地獄 三一三偈
もしも為すべきことであるならば、それを為すべきである。それを断乎として実行せよ。行ないの乱れた修行者は、いっそう多く塵をまき散らす。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三一三偈
🔍 逐語訳
- 為すべきことであるならば:道理にかなっていて、なすべきと知った行為。
- 断乎として実行せよ:決断をもってためらわず、真剣に取り組め。
- 行ないの乱れた修行者:修行しているふりをして、その実、行動が散漫・不誠実である者。
- 塵をまき散らす:他人を迷わせ、悪影響を及ぼし、真理を覆い隠す行為。
🧩 用語解説
- 為すべきこと(カッタヴァ):倫理的・道徳的・責任ある正しい行為。真理や義務に根ざした行動。
- 塵(ラージャ):迷い・煩悩・無知の象徴。仏教では悟りの妨げとなる要素。
- 修行者(ビク):仏道に励む者に限らず、精神的な実践を志すすべての人に対する呼称。
🗣️ 全体現代語訳(まとめ)
やるべきこととわかっているならば、迷わずそれを断固として実行すべきである。
中途半端な姿勢や、規律のない行動は、かえって他人にも自分にも迷いと混乱をもたらす。とくに修行を志す者がそのような状態であれば、多くの「塵(煩悩)」を世に撒き散らす存在となる。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、「わかっているのに、やらない」という怠慢や迷いを厳しく戒めています。
とくに精神的・倫理的リーダーシップを担う者が実践を怠ることは、周囲に大きな悪影響を及ぼすとし、「知っているなら行え、迷うな」と強いメッセージを送っています。
現代においても、善悪・正誤を理解しているにもかかわらず、決断を避け、行動を後回しにすることが、組織の不信感・自他の劣化・社会の混乱を招くことは多く見られます。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
決断と実行 | 「やるべきとわかっているのに動かない」状態は、機会損失だけでなく組織の士気も下げる。 |
リーダーの影響力 | 言っていることとやっていることが一致しないリーダーは、周囲に混乱と不信を広げる。 |
プロフェッショナリズム | 結果に関わらず、義務と責任に基づいた行動を速やかに実行することが、信頼の基盤となる。 |
自己管理と成長 | 成長を望むなら、知識や知見を行動に移す勇気と決断力が必要。「知っているだけ」では変わらない。 |
🧘 心得まとめ
「知りながら動かぬは、行動せぬ怠慢より重い」
やるべきことを知っていながら、それを怠ることは、単なる無知よりも深い罪。
そして、言行不一致の行動は、周囲に誤解と迷いを生み、自他ともに道を見失わせる「塵」となる。
だからこそ、私たちは――
「善と知ったことは、ためらわずに、すぐに、誠実に実行せよ」
この実践こそが、魂を清め、世界を明るくする道なのです。
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