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終わりのとき、何を持って旅立つのか


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📜 引用原文(日本語訳)

汝の生涯は終りに近づいた。汝は、閻魔王の近くにおもむいた。汝には、みちすがら休らう宿もなく、旅の資糧も存在しない。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第237偈


📘 逐語訳

  • 汝の生涯は終りに近づいた:人生の終焉が目前に迫っていること。
  • 閻魔王の近くにおもむいた:死と死後の審判が差し迫っていることの象徴。
  • みちすがら休らう宿もなく:死出の旅路には安らぎや支えが何もないこと。
  • 旅の資糧も存在しない:魂の旅に必要な準備、すなわち修行や善行がまったくない状態。

🧾 用語解説

用語意味
閻魔王仏教における死後の審判者。死の象徴でもある。
宿旅の途中に休息できる場所。安心・備えの象徴。
資糧(しりょう)来世へ向けた善行、心の清浄さ、修行の蓄積など。
生涯の終わり単なる肉体の死ではなく、魂の行方が問われる転換点。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

あなたの人生はすでに終わりに近づいている。死の神(閻魔王)のもとへと向かっているにもかかわらず、あなたには旅の途中で休む宿も、旅を続けるための備え(修行・徳行)もない。このままでは、魂は孤独で過酷な道を歩むことになるだろう。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、前の235・236偈と一連の流れを成しており、死に際して“何を持っているか”“何をしてきたか”を静かに、そして厳しく問いかけています。

人生の終点に向かうとき、地位や財産はすべて置いていかねばならず、残るのは「自分の行いだけ」。この偈は、その決定的な瞬間に何も持たずに立たされる悲惨さを描いています。

これは老いや死の話であると同時に、「今この瞬間をどう生きるか」の警鐘でもあります。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
キャリアの棚卸し何を築き、何を残せたかを常に意識する。数字ではなく、人の記憶に残る貢献こそ「資糧」。
組織における後継自分がいなくなった後にも機能する仕組みづくり(ナレッジの伝承や仕組み化)が重要。
成果と人格名刺や肩書は失われても、信頼や人間性は残る。「人として何を成したか」が最後の評価。
日々の態度一日一日が「人生最後の一日かもしれない」という意識が、真摯な仕事を生む。

🧭 心得まとめ

「あなたは何を持って、最期の旅に出るのか?」

準備のないまま、宿も資糧も持たずに死の道を歩む者は、たださまようしかない。
今日の一歩が、明日の糧になる。
日々の行いこそが、最後に自分を守る唯一の“荷物”となる。


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