若者を育て導くことは、ちょうど箱入り娘を大切に育てるようなものである。
日々の出入りをしっかり見守り、誰と交友を持つかに細心の注意を払う必要がある。
もしこの配慮を怠り、一度でもふさわしくない人物と深く関わってしまったなら、
それは、清らかな田に不浄な種をまいてしまうようなものだ。
そうなれば、いかに優れた種を後から植えようとしても、
雑草がはびこり、良い実りは望みにくくなる。
つまり、人生の初期に交わる人間関係が、その人の将来を大きく左右するのである。
だからこそ、若い時ほど「誰と付き合うか」を最も大切にしなければならない。
「弟子(でし)を教(おし)うるは、閨女(けいじょ)を養(やしな)うが如(ごと)し。
最(もっと)も出入(しゅつにゅう)を厳(げん)にし、交遊(こうゆう)を謹(つつし)むを要(よう)す。
若(も)し一(ひと)たび匪人(ひじん)に接近(せっきん)せば、
是(こ)れ清浄(せいじょう)の田中(でんちゅう)に一(いち)の不浄(ふじょう)の種子(しゅし)を下(くだ)すなり。
便(すなわ)ち終身(しゅうしん)、嘉禾(かか)を植(う)え難(がた)し。」
注釈:
- 閨女(けいじょ)…慎重に育てられる娘、いわゆる「箱入り娘」のたとえ。
- 匪人(ひじん)…行いの正しくない者。ふさわしくない交友相手。
- 嘉禾(かか)…実のなるよい穀物の苗。ここでは「すばらしい人間性」や「徳の実り」の象徴。
- 清浄の田に不浄の種子を下す…純粋な心に悪影響を与える種をまくこと。悪習・悪友の影響を受けることの危険性。
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