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📜 引用原文(日本語訳)
だから、自己のよりどころをつくれ。すみやかに努めよ。賢明であれ。汚れをはらい、罪過がなければ、天の尊い処に至るであろう。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第236偈
📘 逐語訳
- だから:前の偈(235偈)で「資糧がない」状態を戒めた上での教訓的な呼びかけ。
- 自己のよりどころをつくれ:他人ではなく、自分自身に内面的な依拠を築け。
- すみやかに努めよ:急ぎ努力せよ。明日ではなく「今」実行すべし。
- 賢明であれ:智慧をもって行動せよ。
- 汚れを払う:煩悩や迷い、悪業を取り除く。
- 罪過がない:心が清らかで、道徳的に非の打ちどころがない状態。
- 天の尊い処:善行を積んだ者が死後に至る、清浄で安楽な境地。
🧾 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
よりどころ | 精神的支柱。信仰や倫理観、自分自身の確固たる信念など。 |
努めよ | 怠けることなく、継続的に修行や善行を行えという意味。 |
賢明 | 知識だけでなく、行動に智慧を伴わせる態度。 |
汚れ | 欲望・怒り・無知など、心を曇らせるもの。 |
天の尊い処 | 仏教的には「天界」「善趣」とされる来世の幸福な境遇。 |
🌏 全体の現代語訳(まとめ)
だからこそ、他人や物事に依存するのではなく、自分自身を内面的なよりどころとせよ。そして、いまこの瞬間から努力を始め、智慧をもって正しい道を歩め。心の汚れを清め、罪を犯すことがなければ、死後には尊い天界に至ることができるだろう。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、「準備がないまま死を迎えるな」という前偈(235偈)からの流れを受けて、「では今何をすべきか?」を具体的に示しています。
最終的に頼れるのは、自分自身であるという教えは、仏教の根幹でもあり、現代においても極めて重要です。外的な環境や他人の期待に左右されず、自分の内面を整えよというメッセージです。
また、「すみやかに努めよ」という言葉は、「いつかやる」では遅すぎるという仏教の時間感覚を伝えています。悟りも幸福も、今この瞬間の生き方にかかっているのです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
自律と自信 | 上司や環境に頼らず、自分自身の価値観や判断軸を持って行動することが、信頼を生む。 |
タイムマネジメント | 「そのうちやる」では成長できない。今すぐに小さくとも始める意志が重要。 |
倫理観の確立 | 汚れ=不正・怠慢・言い訳を取り除くことで、職業人としての透明性と信頼を得る。 |
キャリア設計 | 長期的成功を目指すなら、他人任せでなく、自分の信念に基づいて道を選ぶこと。 |
🧭 心得まとめ
「明日ではなく、今この瞬間から清らかに歩め」
人生の旅路において、最後に頼れるのは自分自身の行動と選択です。
備えを怠れば死後に後悔が残り、準備をすれば死は尊い門出となる。
この偈は「人生の集大成とは、日々の選択の積み重ねである」と、静かに、しかし力強く語りかけてきます。
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