世に処し、事を成さんとする者は、ただ勇みに任せて動いてはならぬ。
己の力のみを頼みとせず、まずは形勢を観る眼を養うことが肝要である。状況の流れを読み、潮の満ち引きを知る者こそ、時を掴む。
拙速は誤りを招き、焦りは道を狭める。志が高ければ高いほど、気長に構え、機の熟すのを待つべし。待つことは怠けではない。内に力を蓄え、外の変化を見極めるための鍛錬である。
時至らば、一歩は千里に通ず。その時を逃さぬためにこそ、日々の備えと観察を怠るな。
○人が世の中に処して行くのには、形勢を観望して気長に時期の到来を待つということも、決して忘れてはならぬ心掛けである。
渋沢 栄一. 論語と算盤 (角川ソフィア文庫) (p. 20). (Function). Kindle Edition.
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