蛇口作戦を成功に導くためには、綿密で現実的な訪問計画が欠かせません。以下では、効果的な訪問計画を立て、それを実行に移す際の具体的なポイントを解説します。
1. 訪問対象の選定と分類
まずは訪問対象を明確化し、優先順位をつけることが重要です。次のステップで訪問対象を整理しましょう。
- 訪問リストの作成
顧客を「既存顧客」と「潜在顧客」に分け、それぞれの訪問目的を設定します。
例:既存顧客への訪問目的 → リレーション維持、新規提案
潜在顧客への訪問目的 → 初回接触、ニーズ調査 - 得意先の格付け
「得意先別売上高ABC分析表」を活用し、売上規模や戦略的重要性に基づいて顧客をランク分けします。 - AA: 売上規模最大の重要顧客
- A: 主要顧客
- B: 中堅顧客
- C/D: 小規模または成長余地の少ない顧客
さらに、競争が激しい顧客や重点的に攻めるべき顧客には「S」マークを付け、特別な注力対象とします(例:SAA、SA)。
2. 訪問頻度と優先順位の設定
訪問頻度は、顧客の重要性と競合の状況を踏まえ、具体的な基準を設けます。
- 訪問頻度の目安
- AA: 週1回以上
- A: 月2~3回
- B: 月1回
- C/D: 必要に応じて訪問
「S」が付いた顧客には、競合の訪問回数を2倍以上上回る計画を立て、徹底的に攻めます。
- 経営層の訪問
特に重要な顧客には、社長や役員が直接訪問する日程を計画に組み込みます。経営トップの訪問は、競合に対する圧倒的なアピールとなり、信頼構築に繋がります。
3. 訪問内容の具体化
訪問の質を高めるため、事前準備と目的設定が重要です。
- 目的を明確化する
- 情報収集(顧客の課題、競合動向、自社製品へのフィードバック)
- 提案(新製品の紹介、課題解決のための具体案)
- 関係強化(顧客との信頼醸成)
- 訪問後の活用計画
訪問で得た情報をどのように共有・活用するかを事前に設計します。社内で情報を共有し、次の行動に繋げる仕組みを作ることが大切です。
4. 訪問計画の進捗管理と調整
訪問計画は一度立てたら終わりではありません。進捗を定期的に確認し、必要に応じて修正を加えます。
- 訪問基準表の作成と共有
格付けに基づき、各顧客への訪問頻度を記載した「訪問基準表」を作成。全員で共有し、具体的な行動指針とします。 - 定期的な見直し
訪問計画の実行状況を検証し、得られた成果を基に修正します。
例:訪問回数が少ない場合 → 計画を再設定し、人員を増強
訪問内容が不十分な場合 → 具体的な訪問目的を再定義
5. 訪問回数の分析と目標設定
訪問回数は売上の成否に直結します。一人あたりの訪問回数を把握し、必要に応じて改善を図りましょう。
- 訪問回数の目安
- 一人あたり月間200回以上を基準に設定。遠方の顧客が多い場合は、合理的な訪問計画を立案します。
- データを基に評価
過去の訪問実績と売上データを比較分析し、訪問回数と成果の関係を確認。訪問回数の多い営業担当者が高い成果を上げている場合、他のメンバーへの指導に活用します。
6. 小売店訪問の重要性
特に流通業界では、小売店訪問が鍵となります。最終消費者に近い現場での情報収集が、販売戦略を強化するための基盤となるからです。
- 訪問対象の拡大
問屋やスーパー本部だけでなく、各小売店舗をリストアップ。店舗別に定期訪問スケジュールを作成します。 - 現場との直接対話
小売店の担当者と直接コミュニケーションを取ることで、競合の動きや顧客ニーズをいち早くキャッチします。
実行の成功に向けて
訪問計画は、単なる「作戦図」ではなく、継続的に見直し、実行される「行動指針」であるべきです。計画通りの行動を支えるのは、組織全体の協力と、現場に立つトップのリーダーシップです。
訪問頻度を高め、質を向上させることで、蛇口作戦の効果を最大限に引き出し、市場での優位性を確立しましょう。
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