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人は見た目に惹かれる。でも“徳”にもそれだけ惹かれていいはずだ

孔子は、ふとした場面で人間の本質的な傾向について語った。

「私はまだ見たことがない。
美しい人(=色)を好むように、徳を深く好む人を」

人は誰しも、美しさや魅力的な外見、つまり「色(しょく)」に自然と惹かれる。
それは視覚的に強く訴えかけるものだから当然だ。
だが、“徳”——誠実さや思いやり、人間性の高さ——にも、それと同じくらい強く惹かれる人は、果たしてどれほどいるだろうか?

孔子の問いかけは、現代にも通じる普遍的なメッセージだ。
目に見えるものにばかり価値を置いていないか?
本当に大切なのは、人の中身にどれだけ深く向き合えるかではないか?

この章句は、「見ばえ」よりも「人柄」に心を傾けることの大切さを、シンプルに、しかし鋭く突いている。


原文(ふりがな付き)

「子(し)曰(いわ)く、吾(われ)は未(いま)だ徳(とく)を好(この)むこと、色(しょく)を好(この)むが如(ごと)き者(もの)を見(み)ざるなり。」


注釈

  • 徳(とく)…人間性、道徳、誠実さ、他者を思いやる心などの総称。
  • 色(しょく)…美しい見た目、主に異性への関心を含む。ここでは視覚的魅力を象徴する。
  • 如き者を見ざる…そのような人物を見たことがない、という意味。孔子の嘆きでもあり、皮肉でもある。

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