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徳を乱す者は、秩序と魂の両方を壊す


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■引用原文(日本語訳)

「一族の破壊者の、種姓を混乱させるこれらの罪過により、
永遠なる階級の美徳(義務)と一族の美徳は破壊される。」
―『バガヴァッド・ギーター』第1章 第43節


■逐語訳(一文ずつ)

  • 一族を破壊する者が、
  • 種姓(社会秩序)を混乱させることによって犯すこれらの罪は、
  • 階級(ヴァルナ)の永遠のダルマ(義務・徳)と、
  • 家族の伝統的な徳(クラ・ダルマ)を、
  • ともに破壊してしまうのである。

■用語解説

  • 種姓の混乱(ヴァルナ・サンカラ):役割・秩序・倫理の崩壊。社会的・精神的な秩序の解体。
  • 階級の美徳(ヴァルナ・ダルマ):職業や立場に応じた本来の責務・徳目。
  • 一族の美徳(クラ・ダルマ):家系に伝わる道徳的義務、家庭・社会秩序を支える習慣や信念。
  • 罪過(ドーシャ):過失、過ち。ここでは破壊的行動によって生じる深い業。

■全体の現代語訳(まとめ)

一族や社会の秩序を乱すような行為は、単なる一時的な混乱にとどまらず、
社会全体の道徳(ヴァルナ・ダルマ)と、家族が築いてきた徳(クラ・ダルマ)の両方を破壊してしまう。
それは、長い年月をかけて築かれた価値と規律を一挙に失わせる、大きな罪である――とアルジュナは訴える。


■解釈と現代的意義

この節は、「破壊的行動がもたらす本質的損失」について語っています。
社会的秩序(ヴァルナ)も、家庭的倫理(クラ)も、それぞれ固有の美徳によって維持されており、それが失われれば社会の根幹が揺らぐという深い警告です。

現代のビジネスや社会でも、理念や文化、制度の軽視・破壊は、短期的利益を得たとしても、長期的には信頼・秩序・継続性を失わせる結果になります。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
役割と倫理の軽視による崩壊上司・部下・現場・経営が持つべき役割や責任を無視すると、組織全体の規律が乱れる。
制度の無責任な改変文化や制度を理解せずに急激な改革を行うと、根本の価値や働く人の士気が損なわれる。
短期思考の罪成果や勝利を急ぐあまり、秩序や徳を損なう選択は、長期的に信用・基盤を失う。
理念の継承と実行明文化されたミッションだけでなく、日々の言動の中で理念や倫理が守られているかを重視すべき。

■心得まとめ

「急ぐな、壊すな、徳を継げ」
アルジュナは、戦いによって「階級の義務」と「一族の徳」が壊れることで、永続的な社会的損失が生じると見ている。
現代においても、制度や役割の破壊は、社会や組織の道徳基盤を崩壊させる。
守るべきは「今の成果」だけでなく、「過去から継がれた徳と秩序」である――その姿勢が、持続する繁栄の土台になる。

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