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■引用原文(日本語訳)
「私のこの示現とヨーガとを如実に知る人は、揺ぎなきヨーガと結ばれる。この点について疑いはない。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第7節)
■逐語訳(一文ずつ)
- etāṃ vibhūtiṃ yogaṃ ca mama
→ 私のこの示現(威光)とヨーガ(霊的な働き)とを - yaḥ vetti tattvataḥ
→ 如実に、真理として知る者は - saḥ avikampena yogena yujyate
→ 揺るぎなきヨーガによって結ばれる - na atra saṃśayaḥ
→ このことに疑いはない
■用語解説
- 示現(vibhūti):神の顕現・威光・力・栄光。宇宙や個々の存在に現れ出た神の特性や働き。
- ヨーガ(yoga):神との結びつき、霊的な統合。ここでは「神聖なる働き」や「内的統一の道」の意も含む。
- 如実に知る(tattvataḥ vetti):現象だけでなく、その本質・真理を深く理解すること。
- 揺ぎなき(avikampena):動揺せず、確固として安定した状態。
- ヨーガと結ばれる(yujyate):ヨーガ=霊的なつながり・統合に到達すること。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私のこの宇宙における顕現(示現)と、霊的な力(ヨーガ)のはたらきを、深く本質的に理解した者は、決して揺るがぬ精神的な統一(ヨーガ)と結ばれる。それは疑いようのない真実である。」
――クリシュナは、「知識と理解の力」が真のヨーガ(霊的一体性)に導くことを示している。
■解釈と現代的意義
この節は、単に信仰や感覚によるのではなく、「理解と思索」によって神(または人生の根源的原理)を知ることの大切さを説いています。
神の威光=この世界の秩序や現象、ヨーガ=その中で働く統合の力。
これらを“如実に”知ること、すなわち「正しく世界を見て理解すること」が、動揺のない精神状態と安定した行動につながるという教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
経営理念と理解 | 企業の理念や社会的役割(示現)と、目に見えない組織の力学(ヨーガ)を正しく理解したリーダーは、軸がぶれない。 |
ブレないリーダーシップ | 原理原則と構造を深く理解している人は、変化に動じず、信念を持って判断・行動できる。 |
問題解決と構造思考 | 表面的な現象にとらわれず、仕組みや力の働きを理解することで、根本的な解決策が見出せる。 |
確信ある実行力 | 世界や自分の役割について明確に理解している人は、行動に迷いがなく、自然と人を導く力を持つ。 |
■心得まとめ
「真に知る者は、揺るがぬ力と結ばれる」
物事の本質を理解し、働く原理を見抜く者は、どんな混乱の中でもぶれずに進むことができる。
それは信仰や精神論ではなく、明晰な洞察と深い理解に基づく「内なる安定」からくるものである。
この力を得た者こそが、真にリーダーとなり、世界と調和しながら自己の道を歩むことができる。
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