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山のごとく、動ぜぬ心


目次

📜引用原文(日本語訳)

第五十四偈
村の刺に打ち勝ち、
罵りにも殺害にも拘禁にも打ち克ち、
山岳のように確立していて不動であり、
苦楽に悩まされないならば、
かれは〈修行僧〉である。
― 『ダンマパダ』 第二章 第五十四偈


🔍逐語訳(文ごとの意訳)

  • 村の刺に打ち勝ち:五感を通じて煩悩を生む対象(音・香・味・触など)に打ち勝つ。
  • 罵りにも殺害にも拘禁にも打ち克ち:外的な暴力、言葉の中傷、自由の剥奪など、外からのあらゆる苦難に揺るがぬ精神を保つ
  • 山岳のように確立していて不動であり:心の状態が大地に根ざした山のように安定していること。
  • 苦楽に悩まされない:快楽にも苦痛にも心が左右されない、完全な平等心を保つ。
  • かれは〈修行僧〉である:そうした内的安定と忍耐を持った者こそが、真の意味での修行者。

📚用語解説

用語解説
村の刺感覚刺激から起こる煩悩(欲・怒りなど)の元となる対象。
罵り・殺害・拘禁侮辱・暴力・圧力など、他者から受けるあらゆる迫害・障害。
山岳のような確立動揺せず、静かに根を張っている心の比喩。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

感覚の誘惑を克服し、
他者からの侮辱や攻撃にも心を乱されず、
まるで山のように不動の安定を保ち、
快楽にも苦痛にも心を翻弄されない人。
その人こそ、真に修行を成し遂げた者である。


🧠解釈と現代的意義

この偈は、真の修行者の姿として、精神的な安定と無執着を強調しています。
修行の完成とは、もはや外的状況に左右されない内的自由に到達すること。

人間は、

  • 罵られたら怒り、
  • 囚われたら不満を持ち、
  • 褒められれば喜び、
  • 苦しければ逃げたくなる

という心の波に揺れます。

しかし、仏教が示す理想は、そうした感情の波が心を支配しない境地に達すること。
「苦楽ともに受け入れ、動じない」姿勢は、現代にも通じる究極のストレス耐性・内省力です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
メンタルの安定部下や顧客からの批判、トラブル対応時にも動揺せず、冷静さを保つ力。
リーダーシップ苦楽に振り回されず、一貫した判断を下せる人が組織を支える「山」となる。
SNS時代の心の持ち方批判・賞賛の声が容易に届く現代において、ブレずに自分の軸で生きるための心構え。
評価との距離称賛されても驕らず、非難されても倒れないことが、継続的な信頼と成果を生む。

✅心得まとめ

「心が山なら、風は通り過ぎる」

外からの罵声や賞賛、苦しみや快楽――
それらに心を奪われない人は、
他人や状況に人生を支配されることがない。

強さとは、動かぬ静けさである。


この偈は、「五十二〜五十四偈」にかけて完結する「三毒+五蓋(貪・瞋・痴・慢・愛執・怖畏・外敵刺激)」への完全克服の締めくくりとも言えます。

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