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節度なき心は、風に倒れる木のごとし


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📜 引用原文(『ダンマパダ』第一章 第七偈)

この世のものを浄らかだと思いなして暮し、
(眼などの)感官を抑制せず、
食事の節度を知らず、怠けて勤めない者は、
悪魔にうちひしがれる。
弱い樹木が風に倒されるように。
――『ダンマパダ』 第一章 第七偈


🔍 逐語訳

  • この世の無常なものを、純粋で美しいものだと誤って捉え、
  • 感覚器官の欲望に流され、制御せず、
  • 食事に節度をもたず、勤勉に努力することも怠れば、
  • その人は悪魔(内なる煩悩)に打ち負かされる。
  • ちょうど、根の浅い木が風にあおられて倒れるように。

📘 用語解説

用語解説
浄らかだと思いなす無常で不完全な現象を、美しい・安定していると錯覚すること。妄想・無知による認識の誤り。
感官の抑制(制御)見る・聞く・嗅ぐ・味わう・触れるなどの五感を通じて生じる欲望を、意志によって制御すること。
食事の節度必要以上に食べず、快楽としての食を慎むこと。身体の調和と精神性を守る修行の一部。
勤めない(怠惰)努力や修行をせずに、安逸を貪る生き方。心が鍛えられず、悪に流れやすくなる。
悪魔(マーラ)仏教における煩悩や妨害の象徴。心を乱し、悟りから遠ざけようとする内的な力。
弱い樹木根(信念や修行)が浅く、少しの外的刺激で崩れてしまう未熟な状態の比喩。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

この世の物事を美しく永続するものと錯覚し、感覚に振り回され、欲に流され、節制をせず、努力も怠るような生き方では、心はすぐに悪しき衝動(煩悩)に打ち負かされてしまう。そうした人は、まるで根の張っていない木が風に倒れるように、困難に耐えられずに倒れてしまう。真の安定と強さは、節制・自制・勤勉によってのみ育まれる。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、現代においてますます重要性を増している「セルフマネジメント」の核心をついています。
情報・欲望・刺激に満ちた社会の中で、私たちは容易に快楽や怠惰に流されます。
その結果、精神的な安定を失い、ストレスや感情の爆発に翻弄されてしまう。
この偈は、感覚・食・努力の「三つの節度」を保ち、自己を律することこそが、悪しき風から自分を守る智慧であると教えています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
セルフマネジメント欲望(食・快楽・娯楽)に振り回されると、集中力や成果が著しく落ちる。節制が生産性を生む。
タスク遂行力やるべきことに手を付けず「気が乗らない」「後回し」と言い続けると、チャンスも信頼も失われる。
ストレス対処五感に過剰に刺激される生活(情報過多、過食、依存)では、心が不安定になりやすい。意識的に制限が必要。
リーダーシップ自ら節度を守り、静かな強さを持つリーダーは、周囲からの信頼を集め、組織を風から守る柱となる。

🪷 心得まとめ

「節度なき心は、誘惑に倒れ、鍛えられた心は、風に耐える」
自分を律する者だけが、外の世界に翻弄されず、自らの道を進むことができる。
欲望に流されず、怠惰に負けず、静かな規律をもって生きる――それが強さである。


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