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備えなき老いは、折れた弓のように横たわる


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■原文(出典:『ダンマパダ』第十七章 第四偈)

若い時に財を獲ることなく、
(あるいは出家して)清らかな行ないをまもらないならば、
壊れて投げてすてられた弓のようによこたわる。
昔のことばかり思い出してかこちながら。


■逐語訳

  • 若い時に財を獲ることなく:働き盛りの頃に努力せず、備えもせずに過ごし、
  • 出家して清らかな行ないを守らないならば:修行に入っても戒律や心の鍛錬を怠ったならば、
  • 壊れて捨てられた弓のように横たわる:役に立たなくなり、希望も力も失って、使い古され捨てられた弓のように、無力に伏す。
  • 昔のことばかり思い出してかこちながら:過去の栄光や失敗を思い返しては、悔いと愚痴に沈む。

■用語解説

  • 財を得る:ここでは単なる金銭だけでなく、人生の基盤(知識・経験・人間関係)を含む広い意味での「備え」。
  • 清らかな行い:道徳・倫理・精神的な鍛錬(仏教でいう「戒」)を守ること。
  • 壊れた弓:もはや張力も失い、的を射る力もなくなった、役目を終えた存在のたとえ。
  • かこつ:後悔しながら愚痴をこぼすこと。自己を責めたり、過去を悔いたりするさま。

■全体の現代語訳(まとめ)

若いころに十分な努力もせず、精神的な修行も怠って過ごしたなら、
老いてからはまるで使い物にならなくなった弓のように、無気力に横たわることになる。
ただ、過ぎた日のことばかりを思い出しながら、自らの怠惰を悔いて嘆くしかない。


■解釈と現代的意義

この偈は、行動しなかったことのツケは、必ず後から訪れるという強い警鐘です。
人生の初期における「目的意識」と「鍛錬の重要性」を説いており、
歳をとってから過去を悔いる生き方よりも、今この時をどう使うかが問われています。

「過去を懐かしむしかない晩年」ではなく、「過去の積み重ねが今を支える晩年」にするためには、
若き日の怠慢を今からでも断ち切ることが求められます。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
キャリアの主体性他人任せで学ばなかった人は、年齢を重ねてからチャンスを得られず、ただ昔話を繰り返す。
学ばないリーダーの末路若いときの成功に胡坐をかき、学び直さずにいた人は、変化する環境の中で価値を失う。
組織の準備不足危機管理・人材育成・業務継承などの「準備」を怠った組織は、いざというときに機能しなくなる。
感情と態度の管理「あのとき○○しておけば…」という嘆きは、自分の可能性を捨ててしまった証でもある。今この瞬間に変わる勇気が問われている。

■心得まとめ

「後悔は、行わなかった者に宿る」

若き日に努力も修養も怠った者は、
使い古された弓のように、静かに伏して悔いを重ねるだけになる。
だからこそ、「今」なすべきことに誠実であれ。
昔を懐かしむ人生ではなく、過去の積み重ねを誇れる人生を生きよう。


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