目次
■引用原文(日本語訳)
「その座に坐り、意(思考器官)を専ら集中し、心と感官の活動を制御し、自己の清浄のためにヨーガを修めるべきである。」
(『バガヴァッド・ギーター』第6章 第12節)
■逐語訳(一文ずつ)
- 整えられた座に安定して坐り、
- 意(マナス/思考の働き)を一つの対象に集中させ、
- 心(チッタ)と感官の衝動を制御しながら、
- 自己を浄化するために、ヨーガの修行に励むべきである。
■用語解説
- その座:前節(第11節)で設けられた清浄で安定した座。静かに修行する場所。
- 意(マナス):思考・感覚の統合センター。心の中でも特に「注意を向ける機能」を指す。
- 心(チッタ):記憶・印象・感情など、広義の心の作用。
- 感官(インドリヤ):五感と行為器官。外界の刺激に反応しやすい器官。
- 集中(エーカータッタ):対象に心を一つに集めること。散漫さを断つ。
- 清浄(アートマ・ヴィシュッディ):内面的な浄化、精神の透明さ・純粋さ。
- ヨーガを修める(ヨーガム・ユジュ):精神統一・瞑想・鍛錬によって心を高めていく行法の実践。
■全体の現代語訳(まとめ)
修行者は整えた座に坐し、思考を一点に集中させ、心と感覚器官を制御しながら、
自分自身の魂を清めるためにヨーガを修行すべきである。
集中と自己制御の実践によって、真の浄化と精神的成長が達成される。
■解釈と現代的意義
この節は、ヨーガ(精神修行)の実践の核心を端的に示しています。
単なるポーズや姿勢ではなく、意識を一点に集中し、心と感覚を統制するという内面的行法が、魂の清浄をもたらすと説かれています。
これは現代において、集中力の欠如・情報過多・注意散漫といった問題に対し、
「意識の焦点化」と「自己制御」がいかに重要であるかを示す普遍的な教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と適用例 |
---|---|
集中力の管理 | 雑念や情報に惑わされず、一つのタスクや目標に意識を集中させることが成果を高める。 |
マインドフルネス | 自己の感情や反応を客観視し、反射的ではなく選択的に行動する訓練が、自己制御力を育む。 |
知的生産性 | 深く静かな集中状態(ディープワーク)を日常に持てる人は、複雑な問題にも高い成果を出せる。 |
自己浄化と成長 | 他人を変える前に、まず自分の内面を整える意識が、真のリーダーシップの土台となる。 |
■心得まとめ
「心の一点集中が、魂の浄化をもたらす」
ヨーガとは、姿勢や運動ではない。
心を整え、感覚を制し、意識を一点に結ぶこと――それが魂を清め、真の自己に至る道である。
現代においても、集中と自己統制を深めることが、心の透明さと創造性を引き出すカギとなる。
バガヴァッド・ギーターは語る。**「まず心を整えよ、すると世界が整って見える」**と。
コメント