目次
◆第2章 第66節による心得
●原文引用
「専心(せんしん)しない人には知性はなく、専心しない人には瞑想(修習)はない。瞑想しない人には寂静(じゃくじょう)はない。寂静でない者に、どうして幸福があろうか。」(第2章 第66節)
●逐語訳
- 専心しない人には知性はない:心が集中していない人には、明確な知性が宿らない。
- 専心しない人には瞑想はない:心が定まらなければ、内省や修行も成り立たない。
- 瞑想しない人には寂静はない:静かな心は、瞑想なしには得られない。
- 寂静でない者に、どうして幸福があろうか:心が騒がしい者に、本当の幸福などあるだろうか?
●用語解説
- 専心(アヴァスチャヤ):心を一つに定めること。集中、または信念。
- 瞑想(ディヤーナ):内面に集中し、精神統一を図る行為。
- 寂静(シャーンティ):平安・心の静けさ。
- 幸福(スカ):安定し深い満足感。刺激的快楽ではない。
●全体現代語訳
心を定めない者には、確かな知性は生まれない。心が集中できなければ、瞑想(内面の探究)も成り立たず、そこに心の平安はない。心が静かでない人が、どうして真の幸福を得られるだろうか。
●解釈と現代的意義
集中・内省・静けさ・幸福は一つの連鎖でつながっています。
この節は、現代の「注意散漫な状態」が生む非効率やストレスの原因を見抜いています。
ビジネスでも、心の定まらない状態では成果も満足も得られません。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
マルチタスク | 専心できなければ知的成果も損なわれる。1点集中の重要性を意識する。 |
メンタルの混乱 | 心が落ち着かないと幸福もパフォーマンスも下がる。内面を整える習慣が必要。 |
マインドフルネス | 瞑想的な実践が、心の静けさと満足感をもたらすベースになる。 |
●ビジネス心得タイトル
「集中なきところに、幸福は芽吹かない」
◆第2章 第67節による心得
●原文引用
「実に、動きまわる感官に従う意は、人の智慧を奪う。風が水上の舟を奪うように。」(第2章 第67節)
●逐語訳
- 動きまわる感官に従う意は:外界の刺激に翻弄される心は、
- 智慧を奪われる:理性的な判断力を失う。
- 風が舟を奪うように:制御されない風が舟を操るように、感覚に流されれば心は制御を失う。
●用語解説
- 感官(インドリヤ):五感の総称。
- 意(マナス):感覚に応じて反応する内面的な意識。
- 智慧(ブッディ):理性・分別・判断能力。
- 風に揺れる舟:不安定で操縦不能な状態の比喩。
●全体現代語訳
絶えず外の対象を追いかける感覚に心が従えば、人の智慧は乱されてしまう。ちょうど風が舟を奪うように、心も流されてしまうのだ。
●解釈と現代的意義
情報過多の現代では、感覚に動かされやすい状態が続いています。
感覚に振り回される人は、長期的視点や正しい判断を見失いやすい。
この節は「感覚の奴隷になることなかれ」と警鐘を鳴らしています。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
マーケティング判断 | 流行や外圧に流されず、自社の本質価値を軸にする。 |
噂やSNS対応 | 感情に基づく判断ではなく、冷静な対応を意識する。 |
意志決定 | 自他の感情の波に支配されないフレームを持つ。 |
●ビジネス心得タイトル
「感覚の風に、理性の舟を奪われるな」
◆第2章 第68節による心得
●原文引用
「それ故、勇士(ゆうし)よ、すべて感官をその対象から収めた時、その人の智慧は確立する。」(第2章 第68節)
●逐語訳
- それ故、勇士よ(アルジュナ):だからこそ、あなたに言う。
- 感官を対象から収めた時:五感を外界の誘惑から引き戻し、制御したとき、
- 智慧は確立する:そのとき、理性と洞察力が安定し、ゆるぎないものとなる。
●用語解説
- 対象(ヴィシャヤ):感官が求める外部の刺激。
- 収める(ウパサンハリティ):引き戻す、制御する。
- 智慧が確立する:感情・衝動から自由な知性が確立される状態。
●全体現代語訳
だからこそ、アルジュナよ、五感を外界の誘惑から引き戻した者こそ、揺るがない智慧を確立する者である。
●解釈と現代的意義
これは第58節の再強調とも言えます。外界に心を奪われることなく、自分の中に注意を戻すことで、智慧は深まります。これは現代における「情報との距離の取り方」や「選択的集中」の本質にもつながります。
●ビジネスへの応用
ビジネス状況 | 応用ポイント |
---|---|
戦略立案 | 多すぎる情報や周囲の雑音から距離を置いて、核心に集中する。 |
感情の高ぶり | 感情的な判断の前に、五感を一度引き戻して再確認する。 |
ブランディング | 外の評価より内なる軸に基づいた継続的表現を選ぶ。 |
●ビジネス心得タイトル
「感覚を引き戻せば、智慧が根を張る」
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