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変わるものの中に、変わらぬ本質を見よ


■引用原文(日本語訳)

聖バガヴァットは告げた。
「ブラフマンは不滅にして最高の存在である。個物に関して、それは本性であると言われる。被造物の状態を生じさせる創造が『行為』と呼ばれる。」
――『バガヴァッド・ギーター』第8章第3節


■逐語訳

バガヴァーン(聖なる主)は言った:
「ブラフマン(梵)は、不滅であり至高の存在である。アートマン(個物)については、それは各自の本性(スヴァバーヴァ)であると呼ばれる。
一切の存在を生起させる作用が、“行為(カルマ)”と呼ばれる。」


■用語解説

  • ブラフマン(Brahman)
     宇宙根源の実在。永遠・不変・全知全能の原理。形のない超越的な存在。
  • アートマンに関する本性(スヴァバーヴァ)
     個々の存在に内在する固有の本性・性質。自性とも訳される。魂の本質的傾向。
  • 行為(カルマ)
     この世界にあらゆる物事を生じさせる働き。創造的活動全般。因果の力。

■全体の現代語訳(まとめ)

クリシュナは、宇宙の真理である「ブラフマン」は不滅であり、絶対的な存在であると語る。
そのブラフマンが個々の存在に内在するとき、それは「その者の本性(スヴァバーヴァ)」として現れる。
そして、創造や変化をもたらす活動全般を「カルマ(行為)」と呼ぶ。


■解釈と現代的意義

この節は、世界と自己と行為の関係を根本的に定義している。
・「ブラフマン」=不変の真理
・「スヴァバーヴァ」=個の本質
・「カルマ」=現象を動かす原動力

つまり、不滅の存在(ブラフマン)が、個別の存在においては「本性」となって現れ、その本性が世界での行為を生じさせているという哲学構造が示されている。
私たちは偶然に生きているのではなく、それぞれに根源的な本質(使命・性質)に従って行為を生み出している存在なのだ。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
自己理解と役割自分の“本性”を知ることで、自分に適した仕事・役割が見えてくる。才能や使命に沿った行動が、最も自然で力強い成果を生む。
企業文化と戦略組織にも“スヴァバーヴァ(本性)”がある。それを理解していない戦略は持続しない。
行為と結果の理解行動のすべてがカルマ(原因)となって未来を創る。だからこそ、目の前の行動に誠実であることが重要である。

■心得まとめ

「あなたの本性は、宇宙の真理のかけらである。それに従って行動せよ。」

私たちは、ただの偶然の存在ではない。
不変の真理(ブラフマン)を内に宿し、それぞれ固有の本性(スヴァバーヴァ)に基づいて、この世界で行為(カルマ)を行っている。
ビジネスにおいても、目先の成果だけでなく、「自分らしさ」や「組織の本質」を軸にした行動が、真に価値あるものを生む。

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