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執着なき者は、彼岸へ渡る


目次

📜引用原文(日本語訳)

第七三偈
大きな激流が極めて弱い葦の堤を壊すように、
愛執をすっかり断ち切ってしまった修行僧は、
こなたの岸を捨て去る。
蛇が脱皮して旧い皮を捨て去るようなものである。
—『ダンマパダ』 第二章 第七三偈


🔍逐語訳と意図

  • 激流:解脱や真理への道。清流でありながら強力な精神的エネルギー。
  • 葦の堤:ここでは「愛執(タンハー)」=特定の人・物・観念への執着心。
  • 愛執(タンハー):仏教的にもっとも根深い煩悩。愛するものに縛られ、離れがたく執着する心。
  • こなたの岸:迷いの生存、すなわち欲望と苦悩のあるこの世。
  • 蛇の脱皮:束縛を脱して軽やかに進む様、自由の象徴。

📚用語解説

用語解説
愛執(タンハー)愛情や関係への執着。愛着そのものではなく、「これを失いたくない」「常にそばにいて欲しい」といった執着の感情。
修行僧(比丘)世俗を離れ、真理を求める実践者。心の自由を目指す者。
蛇の脱皮古い自我や価値観を手放し、新たな境地に至る象徴。

🪞全体の現代語訳(まとめ)

「愛するがゆえに苦しむ」――
それは人間のもっとも深い悩みの一つです。

この偈では、愛執というしがらみを断ち切った修行僧が、
ついに「こなたの岸」=迷いと苦しみの世界を離れる様子を描いています。

まるで蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように、
しがらみや執着を手放した者は、軽やかに次の境地へと進むのです。


🧠解釈と現代的意義

「愛すること」と「執着すること」は似て非なるものです。
現代社会においても、多くの苦悩は「愛執」に由来します。

  • 人間関係における「手放せない思い」
  • キャリアや地位に対する「こだわり」
  • モノ・お金・評価への「依存」

こうした執着は、自分自身を固定し、自由を奪う鎖になります。

愛することは尊いですが、
「そこに縛られないこと」こそが、深い愛と自由の土台です。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
マネジメント特定の人材・役職・やり方に執着すると、変化に対応できない組織になる。時に手放す勇気が必要。
キャリア「この仕事でなければならない」「このポジションを死守したい」といった執着が、自身の成長を阻む。柔軟性と解放感が創造力の鍵。
リーダーシップ愛着あるプロジェクトに過剰に固執すると、冷静な判断ができなくなる。全体最適の視点を持つためには、手放す力が不可欠。
意思決定利益・影響力・評判への執着に左右されない決断が、最終的に大きな信頼を生む。

✅心得まとめ

「愛に縛られた心では、自由に渡れぬ。真に愛する者は、執着を超えて、彼岸へと歩む」

愛執とは「失いたくない」という恐れからくる執着です。
しかし、失っても変わらぬ想いこそが、本物の愛であり、自由の証。
真理の道を進む者は、愛を抱きながらも、それに囚われない――
その静かな強さが、彼岸への橋をかけるのです。

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