■引用原文(日本語訳)
聖バガヴァットは告げた。
「それは諸々の光明のうちの光明であり、暗黒の彼方にあると言われる。
それは知識(真知)であり、知識の対象であり、知識により到達さるべきものである。
それはすべてのものの心に存在する。」
(『バガヴァッド・ギーター』第13章 第17節)
■逐語訳
それ(ブラフマン/真理)は、あらゆる光の中でも最も根源的な光であり、
無知という闇の彼方に位置すると言われている。
それは知識そのものであり、知識の対象であり、知識を通じて到達されるべき究極のものでもある。
そして、それはすべての存在の心の奥に宿っている。
■用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
光明のうちの光明(ジュヨーティシャーム・ジュヨーティ) | 太陽や火、智慧などの象徴を超えた「根源の光」。悟り・魂の光。 |
暗黒の彼方(タマサ・パラ) | 無知・錯覚・混迷の向こう側にある「真理」。形では捉えられない超越的存在。 |
知識(ジュニャーナ) | 理解する力・識別の力そのもの。 |
知識の対象(ジュネーヤ) | 知るべきもの。霊的真理。 |
知識により到達さるべきもの | 智慧を通して悟られる究極の実在。 |
心に存在する(フリディ・サンニシュタ) | 真理は外にあるのではなく、すべての人の「心の奥」に宿っているという霊的直観。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
クリシュナは、「知るべき真理」とは、すべての光や智慧の根源であり、
無知や混乱の彼方に輝く、超越的な存在であると説く。
それは単なる対象ではなく、「知る力」でもあり、そして「知によって到達される究極の目的」でもある。
しかもそれは、誰の心にも本来宿っている内在の光なのだ。
■解釈と現代的意義
この節は、「真理は外に探すものではなく、自らの内に見出すもの」であるという叡智を示しています。
その真理は、私たちの思考・感情・文化・言葉を超えた「純粋な光」であり、
知識(情報)を超えた「知性(叡智)」によって到達されるものです。
そして、それはすべての人の心の奥に、常に、すでにあるのです。
■ビジネスにおける解釈と適用
視点 | 解釈と応用例 |
---|---|
内なる羅針盤 | 外部の評価や情報に振り回されず、「自分の心の奥にある正しさ」に従うことが本質的判断を導く。 |
学びの本質 | 単なる知識の蓄積ではなく、「何のために知るのか」「知ってどう生きるか」を常に問い直すことが重要。 |
リーダーの智慧 | 明確な答えのない状況でも、「心の光(洞察・直観)」を信じて進む力が真のリーダーシップになる。 |
チームマネジメント | メンバー一人ひとりの中にある「内なる力」「智慧の光」を見出して引き出す姿勢が、人を本当に育てる。 |
■心得まとめ
「真理は心の奥に宿る光――それに気づいたとき、人は自由になる」
『バガヴァッド・ギーター』は、最も尊く、永遠なる真理は外にあるのではなく、
私たち一人ひとりの心の中にあると説いています。
情報が溢れる現代だからこそ、「内なる光」に目を向け、自分の中の“知る力”を信じることが、
真の自由・誠実な行動・そして深い喜びを生む鍵となるのです。
コメント