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■引用原文(ダンマパダ 第二〇章「道」第276偈)
汝らは(みずから)つとめよ。
もろもろの如来(=修行を完成した人)は(ただ)教えを説くだけである。
心をおさめて、この道を歩む者どもは、悪魔の束縛から脱れるであろう。
■逐語訳
- あなたたちは、自ら努力しなければならない。
- 修行を完成させた者たち(=如来、仏陀)は、教えを説くにとどまる。
- だが、心を制しながらこの道を実践する者は、
- 迷いや煩悩(=悪魔)の束縛から自由になれる。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
つとめよ(ヴィヤーヤタ) | 精進せよ。怠らず、自発的に行動せよという強い呼びかけ。 |
如来(タターガタ) | 完全に修行を成就し、悟りに達した者。仏陀を指すが、複数形は過去の覚者全体を含む。 |
教えを説く | 指導や助言を与えるが、代わって修行はできないという意味。 |
悪魔(マーラ)の束縛 | 欲望、怒り、妄想など、心を縛り迷わせる煩悩の力。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
仏陀は、道を説き示すことはできても、誰かの代わりにその道を歩むことはできない。解放に至るためには、自分自身の努力が必要である。心を正しく制御し、教えに従って実践を積む者だけが、迷いや苦しみ(=煩悩)から自由になることができる。
■解釈と現代的意義
この偈は、「自助の精神」と「実践の主体性」を力強く説いています。
どれほど優れた師や知識があっても、それだけで人は救われるわけではありません。自らが努力し、実行に移すことによってのみ、真の自由と成長が得られるのです。
この教えは、現代の「他責傾向」「依存的な学び」の姿勢に対する厳しい戒めでもあります。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネス現場への応用 |
---|---|
主体性と責任感 | 上司やコンサルタントがどれほど的確な助言をしても、それを実行するのは本人。自己成長は自分の責任である。 |
リーダーシップ | 指導者は「道を示す」役割に徹し、最終的にメンバー自身が自発的に動く文化を育てることが重要。 |
変革の実行力 | 改革や改善の案があっても、実行しなければ現実は変わらない。学びよりも行動が力を持つ。 |
メンタルマネジメント | 心をおさめる力(セルフコントロール)が、プレッシャーや誘惑に惑わされない強さを生む。 |
■心得まとめ
「教えは道を示すが、歩むのは自分自身である」
他人の助言や知識に頼りすぎることなく、自ら努め、心を制して実践する者だけが、真の自由と成長を得る。
ビジネスにおいても、**「自分が行動しない限り、何も変わらない」**という自覚が、組織と個人を変革へと導く。
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