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■原文
私は過去、現在、未来の万物を知っている。アルジュナよ、しかし何者も私を知らない。
(第7章・第26節)
■書き下し文
我は過去、現在、未来のすべての存在を知る。しかし、アルジュナよ、誰も我を知ることはない。
■現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 私は過去、現在、未来の万物を知っている。
→ 私(クリシュナ)は時間を超えて、あらゆる存在や出来事を知っている。 - アルジュナよ、しかし何者も私を知らない。
→ しかし、人間は私の本質を理解することができない。
■用語解説
- 万物(サルヴァ・ブータニ):すべての生きとし生けるもの、存在。
- 知っている(ヴェーダ):単なる知識ではなく、完全な洞察と把握を意味する。
- 私(マーム):ここでは人格神クリシュナ=宇宙の根本原理(ブラフマン)としての「私」。
- 知らない(ナ・ヴィジャーナンティ):理解できない、またはその神性を認識しないこと。
■全体の現代語訳(まとめ)
私は過去・現在・未来にわたるすべての存在を知っている。しかし、アルジュナよ、誰一人として、私を真に知る者はいない。
■解釈と現代的意義
この節は、神(クリシュナ)の全知性と人間の認識限界を対比しています。
神はすべての時空と存在を把握している一方で、人間は自らの欲望や無知、狭い視野によってその全体性を理解できない。
これはまた、**「情報を持つこと」と「その情報の源を理解すること」**の違いにも通じます。
人間は目の前の事象や結果を分析しても、その根本原因(本質)に気づくことはまれです。
■ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)
- 全体像を知る者は強いが、見られる側はすべてを見せない
→ 市場を知る、顧客心理を読む、チームの能力を見通す…それがリーダーの資質。しかし、部下や顧客はリーダーの意図を完全には理解しない。
→ 「読み取る力を持ちつつ、誤解される覚悟をせよ」 - 全知であるがゆえに、孤独でもある
→ 戦略的に全体を見通す人ほど、周囲に理解されにくい。だが、それでも前に進まねばならない。
→ 「知られなくても、真理を貫け」 - 意思決定者は常に未来志向であれ
→ 過去・現在・未来をつなげて意思決定する姿勢は、長期的視野の確保に不可欠。データ分析だけでなく直観も大切。
→ 「時間軸を越えた視野で行動せよ」
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