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📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第18偈)
罪なきにもかかわらず、
他人からの悪罵・殴打・拘束を受け、
それをよく耐え忍び、
誓いと戒律を守り通す者――私はその人を〈バラモン〉と呼ぶ。
――『ダンマパダ』第33章 第18偈
🔍 逐語訳(意訳)
罪も犯していないのに、
非難されたり、暴力を受けたり、理不尽に拘束されたとしても、
それに怒りを返さず、耐え忍び、
誓い(願い)と戒律(行動の規範)を守り通せる力を持つ人――
そのような人こそ、真に〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
- 罪なくして(アナッタノ・ドーサ):自らは悪を犯していない、無実の状態。
- 悪罵(アクサ):侮辱的な言葉、非難、ののしり。
- 殴打・拘禁(ハンティ・バンディ):身体的攻撃や不当な抑圧・拘束。
- 堪え忍ぶ(ティティッカー):忍辱。怒りに支配されず、報復心を持たず耐えること。
- 誓戒(サマダーナ・シーラ):道徳的誓約や仏教戒律。精神的・行動的規範を守る意思。
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
たとえ自分に非がなくても、
他人から非難されたり、理不尽な仕打ちを受けたり、暴力を加えられたりしても、
それを怒らず、恨まず、静かに耐え忍び、
自らの信念と道徳的規律を守り続ける人――
そのような人こそが、仏陀の定める「バラモン」、
精神的に完成された人間像である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、仏教における「忍辱(にんにく)」の徳を強調しています。
怒りを返さず、理不尽さに対してさえ心を乱さずに耐えることが、
最も高貴で強い精神の証であると仏陀は説いています。
現代においても、SNSでの中傷、パワハラ、理不尽な非難などが日常的に起こる社会の中で、
内面の平穏を保ち、自分の信念を曲げずに歩む人の存在は際立ちます。
この偈は、「何をされたか」ではなく、「どう応じたか」が人間の品位を決めるという不朽の真理を教えてくれます。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
逆境における冷静さ | 理不尽な指摘や批判にも冷静に対応する力が、真のリーダーシップを育む。 |
感情の自己管理 | 怒りや衝動に任せず、冷静さを保つことが、職場の信頼と安定につながる。 |
誠実な信念の継続 | 圧力や攻撃の中でも、自分の誓った価値観や行動規範を守る人が尊敬される。 |
非暴力的影響力 | 攻撃には反応せず、行動で示す姿勢が、周囲の態度や文化を変えていく力になる。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「理不尽を返さず、心を整えて耐える者が、真に強い」
怒らず、争わず、信念を持って立ち続ける人――
仏陀は、その人こそを「バラモン」と呼んだ。
外の敵に勝つより、内の怒りに勝つことこそ、
最も困難で、最も価値ある勝利である。
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