目次
📖 引用原文(『ダンマパダ』第33章「バラモン」第36偈)
強くあるいは弱い生きものに対して暴力を加えることなく、
生きものを殺さない人、かれをわれは〈バラモン〉と呼ぶ。
🔍 逐語訳(意訳)
- 力ある者にも弱き者にも、
- いかなる生きものにも暴力をふるわず、
- 一切の殺生から遠ざかっている人――
その人こそ、仏陀が語る〈バラモン〉である。
🧘♂️ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
強き生きもの(バラ・サッター) | 人間や動物、力のある存在全般。 |
弱き生きもの(ドゥッバラ・サッター) | 守る術のない小動物、病人、弱者など。 |
暴力(ヒンサ) | 物理的攻撃だけでなく、言葉・態度・心理的抑圧も含む。 |
殺さない(アヒンサー) | 「積極的に殺さない」だけでなく、「生かす・守る」慈悲の行為をも含意する。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
強い者にも、弱い者にも、
いかなる存在に対しても害を加えることなく、
決していのちを奪わず、傷つけずに生きる人こそ、
仏陀が認める真の〈バラモン〉である。
🧭 解釈と現代的意義
この偈は、仏教の中心にある**「アヒンサー=非暴力・慈悲」**という倫理観を、非常に明快に示します。
どんなに学識があっても、権力や地位があっても、
他者を傷つける者は〈バラモン〉ではない。
すべてのいのちに対して、暴力を用いず、敬意をもって接する者こそが、真に尊い存在であると説いているのです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用・実践例 |
---|---|
非暴力のリーダーシップ | 威圧や強制によらず、共感と対話によって人を導く管理者が信頼される。 |
心理的安全性の重視 | 弱い立場の部下や新人にも、萎縮させることなく自由に意見を言わせる雰囲気づくり。 |
倫理的ビジネス判断 | 利益のために環境や動物、他者を犠牲にしない事業姿勢が、長期的な評価につながる。 |
サステナブルな経営 | 生態系や労働者のいのちを尊重する企業文化が信頼を育む。 |
💡 感興のことば:心得まとめ
「力を誇る者ではなく、害さぬ者こそが強い」
仏陀が〈バラモン〉と呼んだのは、
いのちを守り、傷つけない人。
それは慈悲の勇者であり、
静かな力を湛える真の導き手。
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