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真のよりどころは、外にはない


目次

📖引用原文(日本語訳)

しかしこれは安らかなよりどころではない。これは最上のよりどころではない。
それらのよりどころによっては、あらゆる苦悩から免れることはできない。
――『ダンマパダ』 第二七章「観察」第三十二節


🧩逐語訳と解釈

  • これは安らかなよりどころではない:人が恐怖に陥ったときに頼る山や霊樹など(前節参照)は、心を根底から安らげるものではない。
  • これは最上のよりどころではない:「最上」とは、仏教における「究竟の救い」「解脱への真の道」を意味する。
  • それらのよりどころによっては、あらゆる苦悩から免れることはできない:形式的な場所・物・儀式・慣習にすがっても、根本的な苦の解決にはならない。

🧠用語解説

用語解説
よりどころ(サラナ)仏教では「帰依」と訳され、身心を預け、頼みにする対象。
安らか(ケーマ)安穏、心の安定、恐れのない状態。
最上(ウッタマ)最高・究極・真理を体現するもの。
あらゆる苦悩(ドゥッカ)生老病死をはじめとする人生の根本的な苦しみ。

🪷全体の現代語訳(まとめ)

たとえ山や霊樹に頼っても、
それは真に心を安らげるものではない。

一見、安全に見えるその場所も、
本当の意味で私たちを救ってはくれない。

なぜなら、それらは「最上のよりどころ」ではない。
あらゆる苦悩から完全に逃れる道ではないのだから。


🌱解釈と現代的意義

この句は、前節で挙げられた「山・林・霊樹」などへの依存を明確に否定し、
真の安心・救済は、外ではなく内に、そして真理にこそあるという仏教の核心を提示します。

私たちは日常で不安になると、
・パワースポットへ行く
・神棚に手を合わせる
・習慣やルールに依存する

といった行動をとりがちです。
しかしそれらは一時的な安心にはなっても、根本的な「苦」からは逃れられません。

根本的な苦しみを断ち切るには、智慧と修行と正しい理解=仏法への帰依が必要である
この句は、次節(第三十三節)の「三宝への帰依」へと視線を導く“否定による導入句”でもあります。


💼ビジネスにおける解釈と適用

観点実務への応用例
表層的対策の限界一時的なルール改定や場当たり的制度変更では、組織の本質的問題は解決されない。
形式依存の誤り「あの資料があれば安心」「その部署に聞けばいい」などの外的依存は、内的スキルを育てない。
精神的拠り所の見誤り外的な称賛・肩書・報酬だけを拠り所にすると、失ったときに大きく崩れる。
真の改善には内的改革が必要持続可能な成果は、他者に頼るのではなく、行動・価値観・意識の内側から始まる。

📝心得まとめ

「外にあるものは、安らぎを保証しない」

山や林に逃げても、心はついてくる。
霊木にすがっても、苦悩は根こそぎには消えない。

本当のよりどころは、
心の中に育てる「智慧」と、
真理に向き合う「態度」にある。

静かな場所に行くのではなく、
静かな心を持ってどこにでも行ける人になろう。


この第三十二節は、「真の庇護は内なる道と教えにこそある」という仏教的智慧の核心を突いた一節です。
この流れを受けて、次節(第三十三節)は仏・法・僧への三宝帰依の功徳を説く決定的な句です。

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