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本当の手放しとは何かを問う勇気


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■引用原文(日本語訳)

アルジュナはたずねた。
「クリシュナよ、私は放擲と捨離との真実を、それぞれ知りたいと思う。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第1節)


■逐語訳

アルジュナは尋ねた:
「クリシュナよ、行為の放擲(すべての行いを捨てること)と、捨離(結果や執着を捨てること)との本質を、それぞれ明らかにしてほしいのです。」


■用語解説

  • 放擲(サンニャーサ):物理的・儀礼的に行為そのものを放棄すること。世俗的活動からの完全離脱。
  • 捨離(ティヤーガ):行為は行いつつも、その結果への欲望・執着を手放すこと。精神的な手放し。
  • 真実(タットヴァ):物事の本質、または深い意味における真理。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナは、人生の終盤ともいえる局面で、精神修養の核心に迫る問いをクリシュナに投げかける。
「行為を完全にやめるべきなのか? それとも、行為は続けながらも心を離すべきなのか?」と。これは単なる修行の方法論ではなく、人生の選択にかかわる根源的な問いかけである。


■解釈と現代的意義

この節は、人生における「責任」や「役割」から逃れることが真の悟りなのか、それとも向き合いながら心の自由を得ることが真理なのか――というテーマに切り込んでいます。
現代においても、働き方や人間関係において「辞めるか、続けるか」の二元論に悩むとき、その裏にある本質を見極める力が求められています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
キャリア選択「転職する/しない」の表面的な判断にとどまらず、「なぜ自分はそれをしたいのか、何を捨てるべきなのか」を問い直す。
プロジェクト推進辞める(放擲)前に、「執着(成果・承認欲)だけを手放す」という選択(捨離)があることに気づく。
マネジメント部下やチームが悩むとき、「逃げるか耐えるか」でなく、「本質的に何を手放すと心が自由になるか」を問いかける姿勢がリーダーには求められる。

■心得まとめ

「手放すべきは、責任ではなく執着である」
アルジュナの問いは、現代に生きる私たちへの問いでもある。「離れること」と「向き合いながら手放すこと」は違う。何かを続けながら、それに縛られない――その境地を目指す生き方が、現代社会における真の修養となる。


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