目次
■引用原文(日本語訳)
「私が不生であり無始である、世界の偉大な主であると知る人は、人間にあって迷わず、すべての罪悪から解放される。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第3節)
■逐語訳(一文ずつ)
- yo māṃ ajam anādiṃ ca
→ 私が不生(生まれず)であり、無始(始まりなき)ものであり、 - vetti loka-maheśvaram
→ 世界の偉大な主であることを知る者は、 - asammūḍhaḥ sa martyeṣu
→ この人間界にあって迷わず、 - sarva-pāpaiḥ pramucyate
→ あらゆる罪悪から解放される。
■用語解説
- 不生(aja):生まれないもの。誕生や死の影響を受けない永遠の存在。
- 無始(anādi):始まりのない、時間を超越した存在。
- 世界の偉大な主(loka-maheśvara):全宇宙を統べる至高の存在。
- 迷いなき者(asammūḍhaḥ):混乱や無明に陥らない、真理を知る者。
- 罪悪からの解放(sarva-pāpaiḥ pramucyate):過ち・執着・悪業からの完全な解放。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私(神・バガヴァーン)が、時間を超えた不生・無始の存在であり、この宇宙全体を司る主であることを深く理解する者は、世俗の中にあっても迷うことなく、すべての罪から解放される」
――クリシュナは、知識の力によって人間がどこまで自由になれるかを明示している。
■解釈と現代的意義
この節は、霊的な真実――「すべての存在には始まりがあり、終わりがあるという常識」を超えた視座を持つことの重要性を説いています。
世界の本質(それを司る主=至高の意識)が時間や空間を超越した存在であると知ることで、人は「一時的な現象」に振り回されなくなる。
その視座は、人生のあらゆる混乱・罪・過失から解き放ってくれる――という強力な教えです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
長期視点の確立 | 目先の利益や評価に一喜一憂するのではなく、普遍的な価値・理念に基づく経営判断を行う。 |
心の安定とブレない軸 | 周囲の変化に混乱せず、自らの「不動の価値観・ビジョン」に根ざして行動することで、迷いが消える。 |
道徳的判断力 | 損得ではなく「本質に照らして正しいかどうか」で判断することで、過ちを避け、信頼を得られる。 |
真理に基づく行動 | 自分が何のために働いているのか、その根本原理を明確にすることで、無駄や迷走を避けられる。 |
■心得まとめ
「本質を知る者は、迷いなく罪を離れる」
人生やビジネスの混乱は、「何が本当なのか」「どこに立脚すべきか」がわからなくなることから始まる。
しかし、「自分が何に基づいて生きているのか(=不動の真理)」を知っていれば、どんな時代でも迷わない。
目先の成果よりも、「本源的な理解」が私たちを真に自由にするのだ――それがこの節の核心です。
コメント