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■引用原文(日本語訳)
「私に心を向け、生命を私に捧げ、互いに目覚めさせつつ、彼らは常に私について語り、満足し楽しむ。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第9節)
■逐語訳(一文ずつ)
- mat-cittāḥ mat-gata-prāṇāḥ
→ 心を私(神)に向け、生命(プラーナ)を私に捧げる者たちは、 - bodhayantaḥ parasparam
→ 互いに教え合い、目覚めさせ合いながら - kathayantaś ca māṃ nityaṃ
→ 常に私について語り、 - tuṣyanti ca ramanti ca
→ 喜び、満足し、楽しむ。
■用語解説
- mat-citta(マット・チッタ):心を私に向けた状態。神(真理)に集中する精神態度。
- mat-gata-prāṇa(マット・ガタ・プラーナ):生命・呼吸・活力を神に捧げた者。生きる目的・エネルギーが神と結びついていること。
- bodhayantaḥ parasparam(ボーダヤンタハ・パラスパラム):互いに啓発し合い、気づきを与え合う。
- kathayantaḥ(カタヤンタハ):語り合う、語り続ける。
- tuṣyanti(トゥシュヤンティ):満足する、満たされる。
- ramanti(ラマンティ):楽しむ、喜びに浸る。
■全体の現代語訳(まとめ)
「私(神)に心を向け、命を私に捧げる者たちは、互いに語り合い、目覚め合いながら、常に私について語ることで、深い喜びと満足を得る」
――これは、霊的な探究者同士のつながりと、神を中心とした喜びの共同体を描いている。
■解釈と現代的意義
この節は、「志を同じくする者同士が、互いに真理について語り合い、励まし合い、喜びを共有する」ことの価値を説いています。
神や真理に集中し、その意志と結びついて生きる者は、孤独ではなく、志ある仲間との対話によってさらに心を育み、深い満足と楽しさを得る――という、実に人間らしい霊性の姿がここにあります。
これは現代にも通じる「深い対話」と「共同体の意義」を明らかにしています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
ミッション共感型組織 | 使命や価値観を共有する仲間と日々語り合うことで、内面的な満足と継続的なモチベーションが生まれる。 |
組織文化の育成 | メンバー同士が互いに刺激し合い、高め合う文化は、単なる成果主義では得られない「精神的豊かさ」を育む。 |
リーダーシップ | 統率ではなく「共に語る姿勢」を持ったリーダーは、信頼と活気のあるチームを形成できる。 |
エネルギー管理 | 外的報酬よりも、「意義ある対話」と「仲間との喜び」が、持続可能な内発的モチベーションを支える。 |
■心得まとめ
「同じ志を語り合うとき、心は満たされ、喜びは尽きない」
どれだけ仕事が忙しくても、使命を共にする仲間と語り合い、互いに目覚め合える関係があれば、人生も仕事も意味あるものとなる。
ただ生きるのではなく、「誰と何を語るか」によって、心の豊かさと持続可能な力が決まる――それがこの節の示す生き方です。
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