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■引用原文(日本語訳)
そこにおいて、心はヨーガの実修により抑制されて静まり、
人は自ら自己のうちに自己を見て満足し、
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第20節
■逐語訳(一文ずつ)
- その境地において、
- 心はヨーガの実践によって静まり、
- 人は自己の中に自己を見いだし、
- そのことに満足を覚える。
■用語解説
- ヨーガの実修(アビヤーサ・ヨーガ):集中・瞑想・自己制御を繰り返す精神修養の実践。理論でなく「行じる」ヨーガ。
- 心の抑制(チッタ・ニグラハ):思考や感情の波を静めること。外的対象への依存を手放す内向化の行為。
- 自己のうちに自己を見る:「外」に求めていた真理・幸福が「内」にあったことを悟ること。アートマン(真我)の認識。
- 満足(トリプティ):物質的な快楽や他者評価では得られない、精神的充足・至福の状態。
■全体の現代語訳(まとめ)
ヨーガの実践によって心が静まり、
その人は、外界のものではなく、
自らのうちにある本当の自己(真我)を見いだし、そこにこそ深い満足を得る。
これは、感覚的な快楽ではなく、魂から湧き上がる満ち足りた歓喜である。
■解釈と現代的意義
この節は、「満足や幸福は外に求めるものではなく、内にあるものだ」と明確に説いています。
現代では、成功や承認、物質を「満足の源」と誤解しがちですが、ギーターはそれらを超えた「内なる喜び」の存在を指し示しています。
それは、心が静まり、自我を超えた時にのみ得られるものです。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と適用例 |
---|---|
内的モチベーション | 給料や称賛よりも、自分の価値観に基づいて行動することで得られる満足は持続的で強い。 |
自己肯定感 | 他人の評価に依存せず、自分の中に軸を持つことが、安定した精神状態と自信につながる。 |
雑念の抑制 | 集中力を保つためには、常に「外」への関心を整理し、「今ここにいる自分」に目を向ける必要がある。 |
リーダーシップ | 他者を導く者は、まず自らの内面の平穏を確立していなければ、人を惑わせることになる。 |
■心得まとめ
「外の喧騒ではなく、内なる静寂に歓喜は宿る」
満足とは、結果の量ではなく、心の質から生まれるもの。
ヨーガの本質は、外界の変化に左右されない安定した心を育み、
その中にある“真なる自己”と出会うことで、深い満足を得る道である。
ビジネスにおいても、内に軸を持ち、静かに燃えるような歓びを知ることが、揺るがぬ強さにつながるのです。
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