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執着を越えて与える者こそ、真の勇者である


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🔖 原文(日本語訳)

「執著する心がなくて施し与える人は、
幾百の障害にうち勝って、
敵である物惜しみを圧倒して、
勇士よりもさらに勇士であると、われは語る。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第10偈


📝 逐語訳

  • 執著する心がなくて施し与える人:自我の満足や見返りを求めず、純粋に与える人。
  • 幾百の障害にうち勝って:様々な内的・外的困難を乗り越えた上で、施しを実行する。
  • 敵である物惜しみを圧倒して:自己中心的な欲望、所有欲、けち心を打ち破る。
  • 勇士よりもさらに勇士である:戦場の英雄よりも、内なる敵に勝った者こそ真の英雄である、と仏陀は語る。

🧩 用語解説

用語意味
執著(しゅうじゃく)所有や成果、評価にしがみつく心。手放せない心の習性。
施し(布施)他人に利益や財物、心の温かさを分け与えること。
物惜しみ(マーツァリヤ)物を失うことを恐れる心。欲・不安・執着が複雑に絡んだ感情。
勇士外敵と戦う戦士。ここでは比喩的に、外の困難に打ち勝つ者。
さらに勇士外的な敵よりも、自らの内面の敵に勝った者がより偉大であるという仏教的価値観。

🌐 全体の現代語訳(まとめ)

見返りや執着をもたずに人に与えることができる人は、実に多くの困難や誘惑、恐れを乗り越えてきた人物である。彼は、「施したら損をする」「失いたくない」という心の敵を打ち破った者であり、その姿勢は、戦場の英雄よりもさらに称賛されるべきものである――と、仏陀は語る。


💡 解釈と現代的意義

この章句は、「本当の強さとは、自分の中の欲望と恐れに勝つことである」と説いています。
他人に与えることは、簡単そうに見えて実はとても難しい。
それが「執着なく」「無私で」行われるとき、それは戦場の勝利よりも尊い行為であり、精神的な勝利の証なのです。
現代社会でも「損得を越えて与える」という姿勢は、人間性と品格の証として極めて価値があります。


🏢 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
経営哲学組織の価値や利益を一時的に犠牲にしてでも社会に還元することは、長期的な信頼の土台となる。
人材育成指導者が知識・経験・時間を惜しまずに部下に分け与えることが、信頼されるリーダーをつくる。
顧客サービスコストや見返りを超えた真心ある対応は、企業ブランドの核心となる。
自己改革自己中心的な動機を手放して「誰かのために」動くことは、最も困難であり最も成長を促す挑戦である。

✅ 心得まとめ

「外の敵に勝つより、内なる執着に勝つ者こそが真の勇士である。」

人に与えるとは、自らの所有欲・恐れ・損得勘定といった内なる敵との闘いである。
その敵を打ち破った者だけが、誠実で、真に強く、そして豊かな心の持ち主といえる。
施しの行為は、ただの善意ではなく、精神の勝利の証なのです。

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