目次
🔖 原文(日本語訳)
「尊い生れの人(=ブッダ)は得がたい。
かれはどこにでも生れるのではない。
この英雄(=ブッダ)の生れる家は、幸福に栄える。」
――『ダンマパダ』第1章「双句品」第27偈
📝 逐語訳
- 尊い生れの人(ブッダ)は得がたい:悟りを得て真理を説くような偉大な人物に出会うことは、極めて稀である。
- かれはどこにでも生れるのではない:そのような人物は偶然に現れるのではなく、因果の整った場所にのみ現れる。
- この英雄(ブッダ)の生れる家は、幸福に栄える:覚者が生まれた場や家庭・社会・国は、精神的にも物質的にも繁栄する。
🧩 用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
尊い生れ(アリヤ・ジャーティ) | ここでは、仏陀や悟りを得た者の生誕。単なる階級や出自ではなく、徳と智慧による尊さ。 |
ブッダ(目覚めた人) | 煩悩を断ち、完全な智慧と慈悲をもって真理を説く者。 |
英雄(ヴィーラ) | 煩悩・死・恐れ・無明を克服した精神的英雄、すなわち仏陀を指す。 |
幸福に栄える(スッカン・ヴァッダティ) | 単なる繁栄ではなく、精神的な満足と平安を伴った持続的な幸せ。 |
🌐 全体の現代語訳(まとめ)
覚者(仏陀)として生まれる人は、きわめてまれである。
彼らは偶然に生まれるものではなく、縁と徳の備わった場所にしか現れない。
そのような偉大な存在が生まれた土地や家族は、幸福と繁栄に包まれる。
💡 解釈と現代的意義
この偈は、**「本物の導き手との出会いの尊さ」と、「よき人物を育む場の意義」**を同時に教えています。
現代においてブッダのような人物とは:
- 真に覚醒した思想家
- 社会や他者のために生きるリーダー
- 慈悲と智慧を備えた教育者・指導者
であり、そのような人物を生み出せる家庭・学校・社会こそ、真に豊かであるということです。
🏢 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈・適用例 |
---|---|
人材育成 | 真に価値ある人材(視野の広い・利他的な・志ある人物)を育てる企業文化は、やがて会社全体の幸福と繁栄につながる。 |
リーダー像 | 多くの人に安らぎと方向性を与えるリーダーは、一朝一夕に生まれるものではなく、徳・環境・支えが整ってこそ生まれる。 |
環境づくり | 偉大な人が育つ場をつくることは、事業の成否以上に価値がある。物理的環境よりも、倫理・精神性が重要。 |
組織の幸運 | 本質を見抜き、私利私欲に囚われない人物がひとりいるだけで、組織全体が豊かになる。 |
✅ 心得まとめ
「偉大な人は偶然に生まれない。その人を生む場こそ、真に豊かなのだ。」
「目覚めた人=ブッダ」とは、時代を導く人格の象徴です。
私たちがそのような存在に出会えたなら、それは人生のなかで最上の「幸運」であり、
また、そのような人を育てられる場・関係・仕組みをつくることは、個人や組織のもっとも尊い務めなのです。
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