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■引用原文(日本語訳)
そこにおいて、感官を超えた、知性により認識さるべき窮極の幸福を人は知り、
そこに止まって真理を逸脱することなく、
―『バガヴァッド・ギーター』第6章 第21節
■逐語訳(一文ずつ)
- その境地において、
- 人は感官(五感)を超えた、
- 知性(理性)によって理解される、究極の幸福を知る。
- そして、その幸福の中にとどまり、
- 真理の道をそれることがない。
■用語解説
- 感官を超えた(アティーンドリヤ):聴覚・視覚・触覚など五感の快楽に依存しない精神的境地。
- 知性(ブッディ):理性・直観的理解力。単なる情報処理ではなく、真理を見抜く洞察の力。
- 窮極の幸福(スカム・アティーンドリヤム):物質的な満足を超えた、永続的で内的な喜び。至福(アーナンダ)。
- 真理を逸脱しない:一時的な快楽や外的刺激に流されず、本質的な道を歩み続けること。
■全体の現代語訳(まとめ)
ヨーガの実践によって心が静まり、
人は五感を超えた深い幸福を、理性と洞察によって知るようになる。
そしてその幸福の中に安住し、もう真理の道を踏み外すことはなくなる。
それは外部の刺激に左右されない、内面の安定した喜びである。
■解釈と現代的意義
この節は「真の幸福は、感覚を通じてではなく、理性と洞察によって見出される」と説いています。
私たちはしばしば、快適さ・刺激・娯楽といった“感覚的な喜び”を「幸福」と錯覚しますが、それは持続せず、依存を生むものです。
ギーターは、内面の洞察によって得られる“揺るがぬ歓び”こそ、真理に基づいた幸福であると教えています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 解釈と適用例 |
---|---|
意志決定 | 短期的な快楽や利得に惑わされず、理性をもって長期視点から判断する力が求められる。 |
モチベーション | 他者の評価や賞賛(外的刺激)に頼らず、自らの使命感や価値観(内的基準)を軸に行動する。 |
安定したメンタル | 結果や周囲の反応に一喜一憂せず、自己の内面から湧き出る喜びを知る人は、逆境でもブレない。 |
組織文化 | 表面的なパフォーマンスよりも、価値と原則に基づく誠実な行動を重視する風土づくりが、持続的発展につながる。 |
■心得まとめ
「幸福を感覚に求めるな。理性と内面に見いだせ」
真の幸福とは、快楽でも所有でもなく、
理性によって理解され、内なる静寂の中にある。
そのような幸福に安住する者は、
もう真理から外れることはない。
ビジネスの世界においても、流行や感覚的な評価に左右されず、
理性と信念に基づく判断が、持続可能な成果と心の安定をもたらすのです。
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