MENU

怒りと欲望に勝つ者が、真の幸福を得る


目次

■引用原文(日本語訳)

まさにこの世で、身体から解放される前に、
欲望と怒りから生ずる激情に耐え得る者は、
専心した幸福な人である。
(第5章 第23節)


■逐語訳

まさにこの世において、
肉体が滅する(=死ぬ)以前に、
欲望と怒りから生じる強い情動に打ち克つことのできる者、
その人は心を一つに定めた幸福なる者である。


■用語解説

  • 身体から解放される前に:死ぬ前、生きているうちに、という意味。つまり「今、この現世で」。
  • 欲望(カーマ):物を求め、状況を自分に都合よくしようとする心の動き。
  • 怒り(クローダ):欲望が妨げられたときに生じる激しい反応。
  • 激情(ヴェーガ):心の中に強く起こる衝動的な感情。
  • 専心した(ユクタ):ヨーガにおいて心が統一され、揺れ動かない状態。
  • 幸福な人(スッキン):一時的快楽ではなく、持続的・内面的な安らぎに達した人。

■全体の現代語訳(まとめ)

人が生きているこの現実の世界において、
欲望や怒りから起こる激しい感情に打ち克つことができるなら、
その人は心が統一され、真に幸福な存在である。


■解釈と現代的意義

この節は、「本当の幸福は、感情に振り回されない心の力によって得られる」と説いています。
欲望が満たされないと怒りが生まれ、それが周囲との衝突や自滅につながるのが人間の性(さが)です。
しかし、それを外から制圧するのではなく、「生きているうちに、自ら内側から制御できる人間こそ、幸福者である」とギーターは教えています。
すなわち、情動に耐える力がそのまま精神的自由と幸福の条件なのです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用のポイント
感情コントロール部下や顧客に対する苛立ち、競合への敵意などに冷静に対応し、感情の波に飲まれない。
ストレス耐性結果や評価に一喜一憂せず、自己中心的な期待からくる怒りや焦りを克服する。
危機対応感情的衝動で動かず、冷静な判断によってチームや組織を守る力。
セルフマネジメント自分の欲望(承認欲求、金銭欲、権力欲)に振り回されず、内面的統合を保つ。

■心得まとめ

「怒りと欲望を制する者、真の勝者なり」
幸福とは、得るものの多さではなく、
内面の統御にある。
欲望の炎に煽られず、怒りに我を失わず、
感情を乗り越えた者は、外の状況に関わらず、
揺るぎなき喜びを手にすることができる。
それは、今この世でこそ実現されるべき精神の勝利である。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次