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■引用原文(日本語訳)
「ヨーガの主であるクリシュナがいる所、弓を執るアルジュナがいる所、そこには幸運があり、勝利があり、繁栄があり、確固たる政策がある。私はそう確信する。」
(バガヴァッド・ギーター 第18章 第78節)
■逐語訳
- ヨーガの主(ヨーガ・イーシュヴァラ)であるクリシュナと、
- 弓を持つ者(ダヌルダラ)アルジュナが共にあるその場所には、
- 幸運(シュリー)、勝利(ヴィジャヤ)、繁栄(ブーティ)、確固たる方針(ニティルマター)がある。
- 私は確信している(ママ・マティル・ドゥルニチチャヤハ)。
■用語解説
- ヨーガ・イーシュヴァラ:ヨーガ(調和・統合・真理)の主=クリシュナ。精神的原理の象徴。
- ダヌルダラ:弓を持つ者=アルジュナ。行動する人・実行者の象徴。
- シュリー(幸運):女神ラクシュミーを連想させる、豊かさと恩恵。
- ヴィジャヤ(勝利):単なる勝ちではなく、義にかなった成功。
- ブーティ(繁栄):富・成果・発展。
- ニティルマター(確固たる方針):倫理に基づく正しい戦略と判断。
■全体の現代語訳(まとめ)
「クリシュナという精神的導きと、アルジュナという行動の人がともにある場には、
必ず幸運と勝利、繁栄と確固たる方針がある――私はそれを固く信じている。」
■解釈と現代的意義
この節は、ギーターの全教えを簡潔かつ力強く結晶化した言葉です。
- クリシュナ=叡智と霊性の導き(理念・哲学・信念)
- アルジュナ=現実における行動(実行・勇気・責任)
この二つが揃ったとき、
人はどんな困難の中にあっても「真の勝利」を得ることができるのです。
これは、精神(信念)と行動(実践)を融合させた
統合的な成功の方程式を示しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実務での適用例 |
---|---|
理念と行動の統合 | 高い理念(ビジョンや信念)を持ちつつ、地に足のついた行動を取ることで、持続的な成果が得られる。 |
指導者と実践者の協働 | 経営層の明確な指針(クリシュナ)と、現場の責任ある実行(アルジュナ)が揃うことで、組織は強くなる。 |
成功の4要素 | 幸運(チャンス)/勝利(成果)/繁栄(継続的発展)/政策(明確な方針)は、理念と行動のバランスから生まれる。 |
戦略と現場力 | 戦略立案(精神的知性)と、現場での遂行(肉体的勇気)の両輪が回ってこそ、事業は成功する。 |
■心得まとめ
「叡智が導き、勇気が動くところ、そこに真の成功がある」
最後にサンジャヤは、
「クリシュナ(知恵)とアルジュナ(行動)」の両輪がある場所に、
すべての善なる成果がある――と断言します。
私たちもまた、理念だけにとどまらず、
実行だけに陥るのでもなく、
思慮ある決断と責任ある行動を併せ持つとき、真の勝利が訪れる。
それが、『バガヴァッド・ギーター』が最後に私たちに伝える不滅の真理です。
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