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君子は誠実に義を成し遂げる

—— 道理を柱に、礼と謙虚さで真実を貫く

孔子は、**「君子とはどうあるべきか」**を、この一句に凝縮して語った。

「君子は、まず義(ぎ)=道理・正しさを基本とし、
それを行う際には礼儀正しく、言葉は謙虚に、そして最後まで誠実にやり遂げる。――これが君子である」と。

君子とは、行動の原理に「義」を持ち、
それを他者に押しつけず、礼をもって行い、へりくだった態度で伝え、誠実さによって完成させる人のこと。

何を基準に生き、どのように行動し、どう伝え、どう成し遂げるか――
その全過程が調和してこそ、本物の君子となる。


原文とふりがな

「子(し)曰(い)わく、君子(くんし)は義(ぎ)、以(もっ)て質(しつ)と為(な)し、礼(れい)、以(もっ)て之(これ)を行(おこな)い、
孫(そん)、以(もっ)て之を出(い)だし、信(しん)、以(もっ)て之を成(な)す。君子なるかな」


注釈

  • 「義」:道理、正義、筋道の通った行い。行動の根拠となる価値基準。
  • 「質(しつ)」:土台・基本・本質。ここでは「義」が君子の人格の中核をなすことを指す。
  • 「礼」:社会的な秩序と敬意の表現。正しさを押しつけず、品位を保って行う方法。
  • 「孫(そん)」:謙遜。へりくだった態度で物事を伝えること。語気に優しさと敬意を込める。
  • 「信(しん)」:誠実さ。言ったこと、始めたことを最後までやり遂げる責任と信頼。

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この心得は、現代のリーダー像・信頼される人物像・人間力の本質を語るものでもあります。
表面の知識や成功よりも、「どういう根拠で、どんな姿勢で、何を貫くか」ということが、人格の真価を決めるのです。

1. 原文

子曰、君子義以爲質、禮以行之、孫以出之、信以成之、君子哉。


2. 書き下し文

子(し)曰(いわ)く、君子(くんし)は義(ぎ)を以(もっ)て質(しつ)と為(な)し、礼(れい)を以て之(これ)を行(おこな)い、孫(そん)を以て之を出(い)だし、信(しん)を以て之を成(な)す。君子なるかな。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)

  • 「子曰く、君子は義を以て質と為し」
     → 孔子は言った。「君子(徳のある立派な人物)は、“義=正しさ”を内面の根本とする」
  • 「礼を以て之を行い」
     → 「それを“礼=礼儀・形式・節度”によって外に表す」
  • 「孫を以て之を出だし」
     → 「“謙遜・丁寧な態度”でそれを他人に伝え」
  • 「信を以て之を成す」
     → 「“誠実さ・信頼”によってそれを完成させる」
  • 「君子なるかな」
     → 「これぞ真の君子である!」

4. 用語解説

  • 君子(くんし):道徳的・人格的に優れた人物。リーダーの理想像。
  • 義(ぎ):正義・道徳的正しさ。内面の動機・行動基準。
  • 質(しつ):本質・基礎・根幹。ここでは「人としての土台」。
  • 礼(れい):行動の形、節度、社会的な規範。
  • 孫(そん):謙遜・控えめ・相手への配慮をもった態度。
  • 信(しん):誠実さ・信用・約束を守る姿勢。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子はこう言った:

「君子とは、“義(正しさ)”を行動の土台に据え、
“礼(礼儀・節度)”によってそれを実践し、
“孫(謙虚な態度)”によって相手に伝え、
“信(誠実さ)”によってそれを完成させる。
これこそ真の君子である!」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、徳のある人物(君子)が備えるべき四つの実践的徳目を体系的に示した名言です。

  • 義(内面の道徳基準)
  • 礼(行動の節度)
  • 孫(相手への思いやり)
  • 信(誠実な実行)

孔子は、「心の正しさだけでなく、それをどう実行し、どう伝え、どう信頼に変えるか」までを人格の完成プロセスとして位置づけています。


7. ビジネスにおける解釈と適用

◆ 「信念(義)を持ち、形式(礼)を守り、謙虚(孫)に語り、誠実(信)に遂行する」

これはそのまま、現代のリーダー・マネージャーに求められる行動哲学の四本柱である。

◆ 「中身(義)がなければ形(礼)は空虚」

形式的な礼儀や言葉づかいも、根に“正しさ”がなければ信頼されない。

◆ 「正しいことを“傲慢”にではなく、“謙虚”に伝える」

正論をぶつけて人を傷つけるよりも、丁寧な姿勢で伝えることが、対話と信頼を生む

◆ 「誠実な行動が最終的に信頼(信)を築く」

いくら理念を語っても、約束を守り、言行一致を徹底することが、“信頼される君子”の条件である。


8. ビジネス用心得タイトル

「義を根に、礼で表し、謙を添えて、信で貫く──人格と信頼を築く四原則」


この章句は、「人としてどうあるべきか」という問いに対し、行動・態度・内面すべてにバランスの取れた人格像を示すものです。
リーダー育成、組織倫理教育、マネジメント研修などにおいて非常に有効な教訓です。

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