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■引用原文(日本語訳)
それに知性を向け、それに心を向け、それを帰結とし、それに専念する人々は、知識により罪障を滅し、不退転に至る。
(第5章 第17節)
■逐語訳
それ(ブラフマン/至高の存在)に知性を集中し、
それに心を向け、
それを最終目標とし、
それに全身全霊を注ぐ人々は、
知識によって罪の障害を滅し、
揺るがぬ境地(不退転)へと到達する。
■用語解説
- それ(タット):究極の実在。ここではブラフマンや真我を指す。
- 知性(ブッディ):思考判断を司る理性的側面。
- 心(マナス):感情や意志、集中力などを司る心の機能。
- 罪障(パーパ):行動・無知・執着によって積まれた心の曇りやカルマ的障害。
- 不退転(アプラーヤンタ):一度到達した精神的真理・覚醒の状態から後戻りしないこと。
■全体の現代語訳(まとめ)
知性と心の両方を至高の目的に向け、
それを人生の最終的な到達点として深く専念する人は、
知識の力によって、これまでの誤りや障害を清め、
もはや迷い戻ることのない確かな境地へと至る。
■解釈と現代的意義
この節では、精神的な「集中と専念」の力が語られています。
ただ目標を持つだけでは足りず、知性も心も、行動も全てを一点に向けることで、
過去の誤り(罪障)を乗り越え、もはや後戻りのない「安定した自己の境地」へと到達できると説いています。
これはスピリチュアルな話に限らず、自己実現や自己変革、ブレない生き方そのものへの示唆です。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
ビジョン構築 | 理想や目標を明確に定め、心(情熱)と知性(戦略)を一致させることが、進化の鍵。 |
業務集中力 | 周囲のノイズや感情の乱れに引きずられず、目的一点に集中することで成果が生まれる。 |
セルフマネジメント | ブレのないマインドは、習慣化と深い理解(知識)によって築かれる。 |
精神的回復力 | 罪障(失敗・過去の後悔)を克服するには、知識と信念によるリフレームが必要。 |
■心得まとめ
「心と知性を一点に定めよ。その集中が、過去を癒し、揺るぎなき現在を創る」
人は迷い、過ちを犯し、心が折れそうになるときがある。
だが、「何のために生きるのか」という本質的な問いに全身全霊で向き合うとき、
その集中力が過去の罪を洗い流し、揺るがない強さを築いていく。
ギーターは教える――「知識」と「専念」にこそ、不退転の力が宿ると。
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