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📖 引用原文
徳行をそなえ、法にしたがって生き、恥を知り、真実を語り、自分のなすべきことを行なう人を、世人は好ましいと見なす。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第二十四句
🧩 逐語訳
- 徳行をそなえ、
正しい行いと内面の美徳を身につけており、 - 法にしたがって生き、
真理(ダルマ)に従い、正しい生き方をしており、 - 恥を知り、真実を語り、
過ちを恥じる心と、偽りのない言葉を持ち、 - 自分のなすべきことを行なう人を、
自らの責務・役割を果たす人を、 - 世人は好ましいと見なす。
世の人々はその人を魅力ある、信頼に足る存在と認める。
🔍 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
徳行(とくぎょう) | 慈悲・正直・忍耐・節度など、人として備えるべき高潔な性質と行動。 |
法(ダルマ) | 仏教においては真理・教え・道理。人生や宇宙を貫く秩序に従うこと。 |
恥を知る | 道徳的な感受性を持ち、自らの非を反省できること。 |
真実を語る | 嘘や飾りのない、誠実で率直な言葉を選ぶ態度。 |
なすべきこと | 自分の役割・義務・社会的責任。仏教では「自利利他」の行動も含む。 |
🗣 全体の現代語訳(まとめ)
徳を身につけ、正しい道に従い、恥を知り、真実を語り、
自分の果たすべき責任を果たす人は、
人々から尊敬され、好ましく思われる。
人の価値は外見や立場ではなく、その人の内面のあり方と実践にある。
🧠 解釈と現代的意義
この句は、「社会的に好まれる人物像」とは何かを、仏教的に明快に示しています。
表面的な成功や虚飾ではなく、
「真理に従い、恥を知り、誠実に行動する人こそが、人々の尊敬を得る」
という価値観は、現代においても極めて有効です。
とくにこの句が重要なのは、単に「道徳を語る」のではなく、
「なすべきことを行う」=行動に責任を持つことまでを強調している点にあります。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
信頼される人物像 | 専門性よりも、「誠実さ」「反省力」「責任感」が人間的信頼の基礎となる。 |
社内文化形成 | 恥を知る文化、ウソをつかない文化、やるべきことを果たす文化が、組織の健全性を支える。 |
マネジメント | リーダーは「自分の非を認められる人」「部下に正直に語る人」「自ら率先して動く人」が信頼される。 |
採用・評価基準 | 能力以上に、「人としてどう在るか」を評価することが、強い組織をつくる。 |
🧭 心得まとめ
「人は見た目ではなく、
真理に従い、誠実に生きる姿で好かれる」
現代の社会では、表面的な言動やSNSでの印象が重視されがちです。
しかし、本当に人の心に残るのは、
一貫した態度・誠実な言葉・静かな責任感です。
あなたが日々、真理を尊び、
自分の役割に誠実であろうとする姿は、
誰かにとって、**「見ていて信じられる存在」**となります。
それこそが、目には見えない最高の魅力であり、
真に「好ましい人」たる姿なのです。
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