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問いこそが、真の目覚めの始まりである


■引用原文(日本語訳)

アルジュナはたずねた。
「ブラフマンとは何か。個物に関してとは何か。行為とは何か。被造物に関してと言われたのは何か。神格に関してと言われたのは何か。至高のプルシャよ。」
――『バガヴァッド・ギーター』第8章第1節


■逐語訳

アルジュナは尋ねた:
「ブラフマン(梵)とは何ですか? アートマン(個物/自己)とは何ですか? カルマ(行為)とは何ですか? 創造される存在についてと言ったのは何のことですか? 神的存在について言ったのは何のことですか? おお、至高なるプルシャ(人格神)よ。」


■用語解説

  • ブラフマン(Brahman)
     宇宙の根本原理。あらゆる存在の源であり、永遠不滅の実在。超越的かつ遍在的な真理。
  • アートマン(Adhyātma)
     自己・霊魂。個別の存在に宿る内的原理。ブラフマンの個的反映ともいえる。
  • カルマ(Karma)
     行為とその結果の法則。人の行動が未来に影響を与える原因として働く。
  • アディブータ(Adhibhūta)
     被造物。五大元素など、物質的存在全般を指す。
  • アディダイヴァ(Adhidaiva)
     神的存在。天界や自然法則を司る神々(デーヴァ)の意。
  • プルシャ(Puruṣa)
     本来は「人」を意味するが、ここでは「至高の霊的実在」「超越的主宰者(神)」を指す。

■全体の現代語訳(まとめ)

アルジュナは、目の前の戦いの意味、宇宙の原理、行為の因果、自我と神の関係を深く理解しようとし、クリシュナに根源的な問いを投げかけた。これは単なる知的探求ではなく、実存的な目覚めと救済への渇望から発した真剣な問いである。


■解釈と現代的意義

この節は「問いを持つこと」の偉大さを示している。
人生の中で本質的な問い――「自分は何者か」「なぜ働くのか」「この世界の原理は何か」――を持つことで、人は精神的成長を始める。
形式的な知識ではなく、根源的な理解に向かう姿勢が、学びと悟りの原点である。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
リーダーの姿勢表面的な答えや慣習に満足せず、「なぜそれをするのか」「何のための目標か」を常に問い直す姿勢が、真の方向性を生む。
キャリア形成「自分にとっての成功とは何か」「どのように貢献したいのか」といった問いを持ち続けることで、職業が単なる作業から使命になる。
問題解決力問題の本質を見極めるために、「本当の課題は何か?」と問いを立てる力が、深い洞察と革新を導く。

■心得まとめ

「問いを持つ者が、真の探求者となる」

アルジュナのように、根源を問う姿勢こそが、無明を破る最初の一歩となる。
ビジネスにおいても、目的と価値、そして本質的な意味を問い続ける姿勢が、単なる成功ではなく、持続可能な成長と真の満足をもたらす。

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